もし50個の荷物を手渡しで届けるとしたら、どのようにして最適な経路を考えるだろうか。
これは巡回セールスマン問題と呼ばれ、数学者やコンピューター科学者が長い間苦労して取り組んでいる理論的な問題だ。もしかすると、あなた自身も考えたことがあるかもしれない。巡回セールスマン問題を簡単に説明すると、複数の地点と地点間の距離のリストが与えられた時に、全ての地点を一度訪れてから出発点に戻ってくることが可能な、最短経路を探し出すものだ。この問題が解ければ、商品の配送にかかる燃料コストやドライバーの数が削減できるため、全ての電子商取引ビジネスにとってその答えは魅力的なのだ。
しかし障害がある。巡回セールスマン問題を解くことは非常に困難なのだ。バンクーバーに本社を構え、経路最適化を扱うスタートアップ企業ルーティフック (Routific) のマルク・クー最高経営責任者(CEO)は「一人の運転手が57の地点を巡る必要がある時でも、考えられる組み合わせの数はクアットヴィギンティリオン(quattuorvigintillion)、つまり10の75乗にも達します」と説明する。既存のコンピューター・システムが利用可能な全ての経路を評価するには、数日から数週間かかる。そのため、企業は完璧な答えを求める代わりに、できるだけ効率のよい配送経路が探し出す手段を見つける必要がある。
配送企業大手はこの話題について話をしたがらない。UPSへもDHLへもインタビューを申し込んだが、それに対する返事はなかった。フェデックス(FeDex)には1週間以上も前に連絡したにも関わらず、取材日程を調整してもらえなかった。また、アマゾンの広報担当者は決まって次のようなことしか話さない。「アマゾンは複数の様々なサービス・プロバイダーに配送を依頼しており、彼らはアマゾンの利益のために最高のテクノロジーを使用して配送を行っています。それ以上お話しできることはありません」。
幸いなことに、 …