KADOKAWA Technology Review
×
China’s Solar Binge Is Turning Into a Hangover

中国、太陽光発電作りすぎ
送電網につなぐの忘れた問題

中国の太陽光発電設備は、2016年上期に記録的な数が設置され、再生可能エネルギーへの移行が進展しているようにも見える。だが、発電能力はすでに供給過剰に陥っている。 by Richard Martin2016.08.09

中国の太陽光発電ブームは、2016年上期に加速した。半年間だけで中国は 20ギガワット以上の太陽光発電設備を追加したのだ。昨年同期比で約3倍、全世界の設置電力容量からドイツ、日本、米国を除いた分よりも多い。

しかし急成長は陰りを見せ始めている兆候が見えてきた。投資企業マッコリーキャピタルは、7月、今年建設された太陽光発電所の多くは、7月1日の、新たな太陽光発電に対する政府補助金が打ち切られる期限に間に合わせるため、急いで完成させられた、と指摘した。政府は乱開発を抑えようとしており、来年には減ると予想されている。

とはいえ、中国は太陽光発電でほぼ63ギガワットの発電容量があり、他のどの国よりも多い。たとえ中国のエネルギー需要がほぼ横這い状態であるにしても、風力・太陽光・原子力・水力発電計画は構築され続けている。一方、中国政府は太陽光発電開発業者への経済的支援義務を果たせずにいる。太陽光発電の補助金210億元(31億6000万ドル)は未払いだ。

近く発表されるエネルギー部門の5カ年計画で、中国政府は太陽光発電の新設の年平均目標を年間15ギガワットまで減少させると、アナリストは予想している。しかし15ギガワットという発電量は、2016年の合計よりは十分下回るが、中国以外の国と比べれば非常に大きい。

新たな太陽光発電の多く、特に中国西部の砂漠地方の省では、発電所は送電網に接続されていない。つまり発電された電気の多くは、無駄になるのだ。太陽光発電産業協会は、北西部の甘粛省では39%と新疆ウイグル自治区では50%以上が無駄になっている、としている。石炭・鉄鋼・コンクリート産業と同様、中国は長期的な供給過剰に苦しめられている。

「過剰投資が莫大な設備供給過剰となる、どれ程中国がこの傾向に陥りやすいかを、私たち全員が知っています」とアジアビジネス評議会のマーク・クリフォード理事長は先月記していた。「電気だけ例外のはずがあるでしょうか?」

関連ページ

人気の記事ランキング
  1. The winners of Innovators under 35 Japan 2024 have been announced MITTRが選ぶ、 日本発U35イノベーター 2024年版
  2. Kids are learning how to make their own little language models 作って学ぶ生成AIモデルの仕組み、MITが子ども向け新アプリ
  3. The race to find new materials with AI needs more data. Meta is giving massive amounts away for free. メタ、材料科学向けの最大規模のデータセットとAIモデルを無償公開
タグ
クレジット Photograph by Kevin Frayer | Getty Images
リチャード マーティン [Richard Martin]米国版 エネルギー担当上級編集者
MIT Technology Reviewのエネルギー担当上級編集者。『Coal Wars: The Future of Energy and The Fate of the Planet(石炭戦争:エネルギーの未来と地球の運命)』(2015年刊、未邦訳)の著者です。
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る