フェイスブックとグーグルがインドのインタ−ネット接続でしのぎを削っている。世界で最も巨大な成長市場で、フェイスブックの初期のリードには大きく翳りが見えているものの、現在は勢いを取り戻すための準備を進めている。
2015年、フェイスブックはインド市場で、無料モバイルインターネットを供給する基本プランを条件付きで提供した。フェイスブックとWikipediaなど、特定のウェブサイトだけが、データ料金無料で接続できるのだ。インド規制当局は懐疑的見解を示し、「ゼロ課金」として知られるキャンペーンは「ネット中立性の原理」に反するとした。
最終的には、インドの情報通信監査局(TRA:Telecom Regulatory Authority)は、提供済みの形態での無料プランを禁止した。一方でTRAは、部分的ではなく、インターネット全体の利用が無料であれば、キャンペーンを継続してもよい、とフェイスブックに提案した(フェイスブックは提案に乗らなかった)。
もうひとつのインターネット業界の巨人グーグルは、同時期にインドでの独自インターネットプランの本格始動を計画していた。昨年インド鉄道との提携を発表したグーグルは、少なくとも23の鉄道駅に高速Wi-Fiを導入した。現在、毎日200万人がグーグルのWi-Fiスポットを使っているとビジネスインサイダーは伝えている。長期的観点では、グーグルは100駅で1000万人に、インターネット接続の提供を計画している。現在のサービスは1時間以内が無料で、今後は有料サービスになると目される。
グーグルに出し抜かれまいと、フェイスブックはゲームに復帰しようとしている。BBCによると、フェイスブックは最近、インドの非都市部の住民にオンライン環境を手に入れやすくする新たな試みを始めた。「エクスプレスWi-Fi」と呼ばれるそのプランは、地元のインターネットサービスプロバイダーから毎月のデータ通信量を購入するプロセスを簡素化する。現在、エクスプレスWi-Fiを使うと、携帯電話のデータ通信プランに加入済みのユーザーは、インド国内125カ所のWi-Fiスポットのうち、1か所を無料で利用できる。完全に無料ではないが、少なくとも最初のプランのように、規制当局を怒らせることはないだろう。
もちろん、フェイスブックもグーグルも、利他的精神でサービスを提供しているわけではない。無料アクセスを少数のウェブサイトに限定していた初期の姿勢で、フェイスブックの真意は明らかだ。両社とも、比較的未開発の12.5億人市場における新規ユーザーを自社に呼び込もうとしているのだ。もしグーグルやフェイスブックがユーザーのデータ接続を提供していれば、ユーザーは提供企業の無料サービスの会員になる可能性が高くなる。そうなれば、広告という元々のビジネスモデルによって12.5億人から投資を回収できるわけだ。