人間と人工知能(AI)がどうすれば最もよい方法で共存できるかを学ぶためには、私たちは大量のザーグ(コンピューターゲームに登場するエイリアン)を殺す必要があるかもしれない。
アルファベット(グーグル)のAI部門であるディープマインドと、ゲーム会社のブリザード・エンターテイメントは、宇宙空間での対戦をテーマにした人気ゲーム「スタークラフト(StarCraft)」の中で、プログラマーがあらゆる類のAIアルゴリズムを自由に実行できるようにする一連のツールを公開している。
スタークラフトはAIプログラムが今までに挑戦した他のゲームに比べ、はるかに難易度が高い。極度に複雑なだけではなく、はるか先まで計画を立てて、対戦相手が何をたくらんでいるかを先読みする必要がある。人間に匹敵する能力を持つAIプログラムを開発することは、機械によって実現される人間的な知能の新しい側面を探究するのに役立つはずだ。さらに、人間とAIエージェントが一緒にプレーするための方法の探求にもつながるという潜在的な利点もある。
「スタークラフトが興味深いのには多くの理由があります」と、同プロジェクトを主導するディープマインドの研究者、オリオル・ビニャルズは話す。たとえば、プレーヤーはたいていの場合、対戦相手の行動を少ししか見られないので、アルゴリズムが情報を記憶するためのより良い方法を開発する必要がある。「記憶は重要です」と、ビニャルズは話す。「今見ているものは、少し前に見たものです。1分前に起こったかもしれないある出来事が、あなたに違う行動をとりたくなるように仕向けたかもしれないのです」。
ディープマインドは、さまざまな種類のゲームを超人的な能力でプレーできるAIプログラムを開発して、その名をとどろかせてきた。家庭用ゲーム機のアタリで動作するようなゲームの攻略から始めて、最近では極度に複雑で抽象的なボードゲームである囲碁(“DeepMind’s AI Masters the Game of Go a Decade Earlier than …