世界的に著名な人工知能(AI)の専門家であるアンドリュー・エンが、あらゆる業界で活躍する何百万人ものAI専門家を育成する取り組みを始めた。オンライン学習サイトのパイオニアであるコーセラ(Coursera)に新しい深層学習コースを開設し、強力なアイデアを持つ人々を育てるという。
AI専門家は、今日のテック業界において、最も引く手あまたで高給取りの職種の一つとなっいている。深層学習では、大量のデータと大規模な擬似ニューラル・ネットワークを使って、複雑なタスクを実行するように機械を訓練しなければならない。その手法を習得するには、深い技術的知識と経験を要する(参照:“10 Breakthrough Technologies 2013: Deep Learning”)。
今年3月、エンが中国のインターネット企業バイドゥ(Baidu)の主任研究員のポストから離れたことが報道されると、次の行き先について幅広い憶測が流れていた(参照: 「バイドゥでAI研究を率いたアンドリュー・エン主任研究員が退職」)。コーセラの深層学習コースは、エンの新しいスタートアップ企業である「ディープラーニング・アイ(Deeplearning.ai)」を通じてローンチする、3つプロジェクトの第一弾になるという。
バイドゥに入社する前、エンはスタンフォード大学で教授を務めており、その後コーセラを創業して、数年間で200万人以上が受講した機械学習コースを作った。また、数年前、深層学習を会社を越えて展開する取り組みである、グーグル・ブレイン(Google Brain)プロジェクトの創設責任者も務めていた。
エンは、MIT テクノロジーレビューのシニアエディターであるウィル・ナイトに、深層学習を使って世界を再構築するという彼のミッションについて語ってくれた。
次の大きな試みとしてこのプロジェクトの立ち上げを選んだのはなぜですか?
本当にわくわくしているのは、AIによって支えられた新しい社会を構築することです。昨今、AIに関する多くの噂が巨大テック企業の周辺で流れています。そして、それらの企業は明らかに、AIを使ったより優れたWeb検索やネット広告、地図、支払いシステムなどを通じて莫大な価値を生み出しています。経済界全体を見渡してみれば、どのようなフォーチュン500企業でも、AIを使って多くの価値を生み出せることが分かると思います。
どこか1社が必要なすべての研究を成し遂げられるとは考えていません。ですが、何百万人もの人々にAIツールの使い方を教えれば、大企業や私の会社が作れないようなものを発明できるかもしれない、と考えたのです。
AIによって世界は本当により良いものになるでしょう。モノのコストは削減されるでしょうし、素晴らしい教育を受けることができ、病院や医療制度の運営方法も、多くのことが変わるでしょ …