2017年3月に突然発表されたアクイオン・エナジー(Aquion)の倒産は、将来性を約束されていた蓄電池のスタートアップ企業がなぜ倒産にまで至り、どうしてこんなにも早く破綻したのか、業界筋を不思議がらせた。このほど、チャプター11(連邦倒産法第11章)による会社再建の目途が立ち、創業者でカーネギーメロン大学工学部のジェイ・ウィテカー教授がようやく裏で何が起こっていたか、そしてこれからアクイオンがどうなるのかを話せる立場になった。
ウィテカー教授はMITテクノロジーレビューの独占取材に対して、再建したアクイオンが生き馬の目を抜く蓄電池業界で成功するために、今までより優位な立場で、これまでとは大きく異なる企業に成長すると話す(参照「Why Bad Things Happen to Clean-Energy Startups」)。
チャプター11による競売で、アクイオンは電力技術を専門とする上場投資持株会社、中国タイタン・エナジー・テクノロジー・グループ(中国泰坦能源技術集団)と緊密な関係にある「米国企業が過半数を持つジョイント・ベンチャー」によって買収された。新たな親会社は、財政面でのてこ入れ、製造専門技術の提供、中国での大規模なエネルギー事業への参入の道を開き、アクイオンが単独で直面した重大な問題を解決してくれるとウィテカー教授は語った。
当初、アクイオンは他よりも安価な蓄電池と小型蓄電池を開発し、風力や太陽光などの再生可能エネルギーに安く簡単に組み込める電池を発表して注目を浴びた。当初の計画では、塩水電解液と酸化マンガンの陽極、炭素系の陰極を組み合わせる技術を使って、1キロワット時あたり300ドル未満の電池を製造する予定だった(「Battery to Take On Diesel and Natural Gas」参照)。その後、ビル・ゲイツやベンチャー・キャピタルのクライナー・パーキンス、石油会社のシェルなどの投資家から2億ドル近くの資金を調達した。MITテクノロジーレビューは、2016年版「スマート・カンパニー50」でアクイオンを5位と評価していた。
ところがウィテカー教授によれば、その後すぐに、いくつもの難問に直面したという。技術的には見込みどおりに開発が進み、主に小規模な蓄電業者と契約を結び、売上も徐々に増えていたが、材料の製造や製品製造体制に資金を使い …