マイケル・ダニエルは、今日の混沌としたサイバーセキュリティの状況についてユニークな視点を持つ人物だ。オバマ政権のサイバー責任者を4年間務めた直後、非営利組織サイバー脅威アライアンス(CTA)の理事長に就任した。CTAはサイバーセキュリティ企業各社がチームを組み共通の脅威に関する情報を共有するプラットホームを構築している団体だ。MITテクノロジーレビューは、7月26、27日にラスベガスで開催されたコンピューター・セキュリテイ・カンファレンス「ブラックハットUSA 2017」でダニエル理事長を取材することができた。以下は取材内容を編集したものだ。
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——ダニエル理事長は政府側から、そして現在は民間側からサイバーセキュリティの課題をご覧になってきていますが、現状についてどう思われますか?
現状、ますます多くの国々がサイバー能力を武器として取り入れ始めています。米国、ロシア、中国、イスラエル、英国のようなサイバー先進国だけでなく、どこの国でも国家が保有する武器として利用しそうな勢いにあるとの認識が必要です。結果、セキュリティのための行動基準や手法の規則をどのように確立していくかを熟慮する必要があります。だからといって、サイバーセキュリティが不安定だということではありません。
——国家のみならず犯罪もサイバー作戦の技術が高度化しています。CTAがこの現状に対して、どのような役割を果たせるでしょうか?
もっとも幅広いレベルでは、CTAは情報を共有し分析する組織なので、ベンダーとサイバーセキュリティ提供業者とのコミュニティー運営に注力しています。この種の活動に本格的に取り組む団体は他にありません。CTAの根本的な役割は2つあります。第一に、サイバーセキュリティ産業内部での競争を、社会全体に貢献する形に変えることができるかということです。「自社の不十分なセキュリティに関 …