忌々しいアーケード ゲームから多くのヒントを得たロボットが、今年のアマゾン・ロボティクス・チャレンジで勝利を収めた。
電子商取引企業のアマゾンや世界一大きなオンライン食品小売業者の、オカド(Ocado)は現在、世界中で最も自動化した倉庫を誇りにしている。しかし、顧客が注文した商品を取り出すのはロボットではない。なぜなら、広い範囲に置かれている形の違う商品を機械はまだ正確に認識できないからだ。
そこで、アマゾンは毎年研究者を集めて商品を取り出して、格納する機械を競わせているのだ。難しい仕事だが、究極的にはアマゾンの倉庫の完全自動化に役立つかもしれない。今年の課題は、これまでよりもさらに難しかった。各チームのロボットは、持ち時間30分で乱雑に置いてある商品から特定の商品を認識し、取り出す作業をしなければならなかった。新しい商品が次々に到着し、パレットが綺麗に整理されていない倉庫の状態を、これまで以上にシミュレーションしたものだという。
優勝したのは、オーストラリアのロボット・ビジョン・センター(Australian Centre for Robotic Vision)によって作られた「カートマン(Cartman)」と呼ばれるロボットだ。多くの競合相手が、課題をロボット・アームで実行するのとは異なり、カートマンは際立って非人間的なのだ。商品を取り出す機械はクレーンゲームのクレーンのように直線に沿って空間を移動するが、クレーンゲームよりはるかに優れている。カートマン制作者のアントン・ミランによると、勝利にはカートマンのコンピュータービジョン・システムが不可欠だったそうだ。「私たちのシステムの特徴の1つは、非常に少量の注釈付き訓練データしか使わなかったことです」とオーストラリアのWebメディア『TechAU』に説明した。「目に見えない商品(編注:一部の商品は事前に知らされず当日の会場で初めて明かされた)もたった7枚の画像だけで検出できました」。
この類の高速学習は機械学習の専門家にとって、広範囲な研究領域となる。2016年、ディープマインドは画像内のオブジェクトを以前に一度見たことがあるだけで認識できる「ワンショット学習」システムを披露した。他の商品があって目的の商品がよく見えない場合でも間違えずに認識して取り出すとなると、カートマンにはもう少し訓練データが必要だ。
(関連記事:TechAU, “「モノを持ち上げられるロボット」の実現はなぜ大騒ぎになるのか?,” “グーグル・ディープマインド、大量データ不要の深層学習システムを開発,” “Inside Amazon”)