研究者たちは、 2017年を中国における会話型コンピューターの年と呼んでいる。近年の音声認識や自然言語処理の進歩を活用して、電子商取引大手のアリババと検索大手のバイドゥの両社は、音声ベースのコミュニケーションの道を拓くテクノロジーの開発を続けてきた。そして今、バイドゥとアリババのテクノロジーから派生した、音声で操作する製品が中国市場に現れつつある。
アリババの音声アシスタントであるアリジーニー(AliGenie)を組み込んだTモール・ジーニー(Tmall Genie)は、スピーカー型の人工知能(AI)アシスタント「アマゾン・エコー」と同様の製品だ。音声による指示で、オンラインで注文したり、天気を確認したり、あるいはお気に入りの音楽をかけたり、家中の他のスマート・デバイスを制御したりできる。
バイドゥの会話型プラットフォームであるDuerOS(デュアーOS)はすでに、ホーム・アシスタント・ロボットやテレビのセットトップ・ボックス、HTCのスマホなどの製品に組み込まれている。アリジーニーやほかの音声アシスタントと同様に、ランダムチャットの相手をする初歩的な機能を備えており、バイドゥによるとデュアーOSの開発キットにはたくさんの注文があるという。
バイドゥのデュアー事業部門のクン・ジン統括マネージャーは、米国市場でのアマゾン・エコーなどの製品の成功がきっかけとなり、2017年にはさらに多くの企業がこの分野に参入すると予測している。中国のテック投資家たちの関心を集めているという。
調査企業のIDCは、2020年までに中国のスマート運転業界の製品の51%、携帯電話やウェアラブル業界の製品の68%に、会話ベースのAIシステムが組み込まれると予測している。タッチ型スクリーンによってモバイル・デバイスがとても操作しやすくなったように、会話型インターフェイスでより一層自然な操作が可能になり、今よりも多くの人たちがネットを使うようになるだろうと、デュアーOSの開発を指揮するジン統括マネージャーは言う。
音声ベースのコンピューティングは中国にとって良い選択肢だ。現在、典型的なQWERTYキーボードによる中国語のタイピングでは、中国語の発音に基づく「ピンイン」と呼ばれるシステムを使っている。しかし、中国語(普通話)の四声はそれぞれが異なる意味を持つので、ユーザーは発音をタイプした後、ドロップダウン・メニューから正しい文字を根気よく選び出さねばならない。
「yi」などの一般的な …