
中国で音声アシスタントが
大ブレイクする可能性
日本はどうなる?
日本が出遅れている音声アシスタントの分野で中国が急速に米国を追い上げている。アリババやバイドゥから続々と製品が登場し始めた。しかし、英語などに比べて中国語は複雑であり、自然な会話を実現するには課題も多い。 by Yiting Sun2017.07.26
研究者たちは、 2017年を中国における会話型コンピューターの年と呼んでいる。近年の音声認識や自然言語処理の進歩を活用して、電子商取引大手のアリババと検索大手のバイドゥの両社は、音声ベースのコミュニケーションの道を拓くテクノロジーの開発を続けてきた。そして今、バイドゥとアリババのテクノロジーから派生した、音声で操作する製品が中国市場に現れつつある。
アリババの音声アシスタントであるアリジーニー(AliGenie)を組み込んだTモール・ジーニー(Tmall Genie)は、スピーカー型の人工知能(AI)アシスタント「アマゾン・エコー」と同様の製品だ。音声による指示で、オンラインで注文したり、天気を確認したり、あるいはお気に入りの音楽をかけたり、家中の他のスマート・デバイスを制御したりできる。
バイドゥの会話型プラットフォームであるDuerOS(デュアーOS)はすでに、ホーム・アシスタント・ロボットやテレビのセットトップ・ボックス、HTCのスマホなどの製品に組み込まれている。アリジーニーやほかの音声アシスタントと同様に、ランダムチャットの相手をする初歩的な機能を備えており、バイドゥによるとデュアーOSの開発キットにはたくさんの注文があるという。
バイドゥのデュアー事業部門のクン・ジン統括マネージャーは、米国市場でのアマゾン・エコーなどの製品の成功がきっかけとなり、2017年にはさらに多くの企業がこの分野に参入すると予測している。中国のテック投資家たちの関心を集めているという。
調査企業のIDCは、2020年までに中国のスマート運転業界の製品の51%、携帯電話やウェアラブル業界の製品の68%に、会話ベースのAIシステムが組み込まれると予測している。タッチ型スクリーンによってモバイル・デバイスがとても操作しやすくなったように、会話型インターフェイスでより一層自然な操作が可能になり、今よりも多くの人たちがネットを使うようになるだろうと、デュアーOSの開発を指揮するジン統括マネージャーは言う。
音声ベースのコンピューティングは中国にとって良い選択肢だ。現在、典型的なQWERTYキーボードによる中国語のタイピングでは、中国語の発音に基づく「ピンイン」と呼ばれるシステムを使っている。しかし、中国語(普通話)の四声はそれぞれが異なる意味を持つので、ユーザーは発音をタイプした後、ドロップダウン・メニューから正しい文字を根気よく選び出さねばならない。
「yi」などの一般的な …
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