ある夫婦は、ドローン(無人航空機)による荷物配送の最大のハードルを解決できると固く信じている。
ほとんどのドローンは無人とはいっても、まったくの無人ではない。無人航空機の安全な飛行を担保するため、米国の法律は専任のパイロットが常に見える状態で飛行しなければならないと定めている。そのため、アマゾンが計画している都市部のドローン配達や、森林火災の情報収集、捜索、救命作業、あるいはサメの監視といった公共事業での大規模なドローンの投入は不可能だ。
米国航空宇宙局(NASA)の航空宇宙科学技術者、ルー・グラーブ研究員と、ルーの妻で同僚でもあるソフトウェア・エンジニアのトリッシュ・グラーブ研究員は、「セーフ2ディッチ(Safe2Ditch)」の開発によってこうした問題を解決しようとしている。セーフ2ディッチは、無人航空機に統合されているオートパイロット(フライト・コントローラー)や、フライト・コンピューター(無人航空機に後から搭載する小型のコンピューター)に組み込むためのソフトウェア・アルゴリズムとロジックだ。無人航空機に故障が起きたり電池が切れたりした場合、機体を安全に着陸させ、都市部や郊外で人にケガをさせるリスクを軽減できる。
グラーブ夫妻は、セーフ2ディッチが完成すれば、民間航空機を規制する米国連邦航空局 (FAA)に対して、民家や多くの人が集まっているそばでも無人航空機が自律的、安全に飛行可能なことを証明できると考えている。
セーフ2ディッチは特に、小型で安価な無人航空機のために設計されている。ソフトウェアは機体のさまざまなシステムを監視し、異常事態を検知したら安全な着陸 …