KADOKAWA Technology Review
×
電池切れでも墜落しない
NASA開発の新技術で
宅配ドローンは離陸するか
カバーストーリー 無料会員限定
Teaching Drones How To Crash Safely

電池切れでも墜落しない
NASA開発の新技術で
宅配ドローンは離陸するか

宅配ドローンが実用化できない大きな理由の1つが安全性だ。電池切れやシステムトラブル時にもドローンが緊急着陸できる新しい技術がNASAの研究者によって開発されている。 by Simon Parkin2017.07.25

ある夫婦は、ドローン(無人航空機)による荷物配送の最大のハードルを解決できると固く信じている。

ほとんどのドローンは無人とはいっても、まったくの無人ではない。無人航空機の安全な飛行を担保するため、米国の法律は専任のパイロットが常に見える状態で飛行しなければならないと定めている。そのため、アマゾンが計画している都市部のドローン配達や、森林火災の情報収集、捜索、救命作業、あるいはサメの監視といった公共事業での大規模なドローンの投入は不可能だ。

米国航空宇宙局(NASA)の航空宇宙科学技術者、ルー・グラーブ研究員と、ルーの妻で同僚でもあるソフトウェア・エンジニアのトリッシュ・グラーブ研究員は、「セーフ2ディッチ(Safe2Ditch)」の開発によってこうした問題を解決しようとしている。セーフ2ディッチは、無人航空機に統合されているオートパイロット(フライト・コントローラー)や、フライト・コンピューター(無人航空機に後から搭載する小型のコンピューター)に組み込むためのソフトウェア・アルゴリズムとロジックだ。無人航空機に故障が起きたり電池が切れたりした場合、機体を安全に着陸させ、都市部や郊外で人にケガをさせるリスクを軽減できる。

グラーブ夫妻は、セーフ2ディッチが完成すれば、民間航空機を規制する米国連邦航空局 (FAA)に対して、民家や多くの人が集まっているそばでも無人航空機が自律的、安全に飛行可能なことを証明できると考えている。

セーフ2ディッチは特に、小型で安価な無人航空機のために設計されている。ソフトウェアは機体のさまざまなシステムを監視し、異常事態を検知したら安全な着陸 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【春割】実施中!年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
  1. Why handing over total control to AI agents would be a huge mistake 「AIがやりました」 便利すぎるエージェント丸投げが危うい理由
  2. OpenAI has released its first research into how using ChatGPT affects people’s emotional wellbeing チャットGPTとの対話で孤独は深まる? オープンAIとMITが研究
  3. An ancient man’s remains were hacked apart and kept in a garage 切り刻まれた古代人、破壊的発掘から保存重視へと変わる考古学
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る