子どもたちのためにいますぐ貯金を始めよう。
2017年7月18日に発表された論文によると、二酸化炭素の排出量をただちに削減しなければ、現在の若者は2100年までの間に535兆ドルもの費用を負担しなければならないという。世界経済全体の7倍近い金額だ。
一方、二酸化炭素排出量の年率8%の削減を2021年までに開始できれば、気候変動による危機を避けるために必要な二酸化炭素を取り除く費用は8兆ドルから18.5兆ドルとなる。もっとも低く見積もったケースでは、年間1000億ドルで済むという。
効果がはっきりとしない技術で二酸化炭素を回収するよりも、クリーンエネルギーに切り替えて温室効果ガス排出量を削減する方が、最終的にははるかに低コストで低リスクなことは明らかだ。今回発表された、著名な気候研究者であるコロンビア大学地球研究所のジェームズ・ハンセン教授らの研究は、21名の若者らが気候変動への対策が十分ではないとして連邦政府を訴えた注目の裁判で、科学的な裏付けのある信頼性の高い数字を使って連邦政府を追求する手助けとなるはずだ。オレゴン州の連邦判事は今年初め、本件の審理を早めるように裁決している。
訴訟の原告にも加わっているハンセン教授は、米国航空宇宙局(NASA)に科学者として勤めていたときの初期のモデリング研究と、議会での歴史的な証言によって、人々の目を地球温暖化の問題に初めて向けさせたことで知られる。そのため、一部の人々からは気候研究の父と呼ばれている。
ハンセン教授の今回の研究は、科学的な基礎からは逸脱しないものの、実証実験を積み重ねて起こり得る結果を予測するというよりは、極端な前提に立って想像した思考実験に近い。実際のコストを過剰に見積もっている可能性はいくつか指摘できる。
注目すべき点 …