将来のアイフォーン(iPhone)には奥行きを検知するレーザー・システムが装備されそうだ。これはそれほどクレイジーなアイデアではない。
米国メディアのファスト・カンパニーは、アップル製品に詳しい情報筋によると「アップルは今秋発表する新しいアイフォーンの裏側に、背面3Dレーザー・システムを追加しようと必死に取り組んでいる」と2017年7月12日の記事で報じている。この情報は、アップル製品の情報サイトであるマックルーモア(MacRumors)での今年2月のうわさ、将来のデバイスには 「完全な3Dセンシング機能」が備わるかもしれない、という話と一致する。
このところ、「レーザー・センサー」と言えば多くの自律自動車が使っているライダー(LIDER:レーザーによる画像検出・測距)ユニット を思い浮かべるだろう。周囲の世界の位置情報を高精度で測定するための仕組みだ。しかし、レーザー・センサーにさほど高度な技術は必要ない。昨年、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者たちは10ドルのレーザーと簡単な回路で、普通のスマホに低出力の測距機能を追加できることを示した。しかも、誤差が数ミリメートル以下の正確さであった。
実際、ファスト・カンパニーの情報筋は、奥行きセンサーのためのレーザー、レンズ、検出器、電子部品にかかるコストは、アイフォーン1台あたり2ドル程度と見ている。無人乗用車と同じレベルのマッピングとはいかないことは明らかだが、距離計測と空間マッピングが可能になれば、カメラを1つだけ搭載したアイフォーンにはできないことができるようになる。しかもレーザー測距はアイフォーン7 プラス(iPhone 7 Plus)のステレオカメラ・システムよりも正確で、暗い状況下でも機能する。
アイフォーンへの機能追加は、アップルが旗艦製品を進歩させようとしている方向性に合致する。2017年6月に開かれた開発者会議で同社は、長年の拡張現実(AR)製品の製造に対する要望に応じる形で アップルデバイス向けにARソフトウェアを作成する新たな開発ツールを発表し、カメラを1つだけ使っても、素晴らしいアプリを作れるというソフトウェアの例を示した。しかし、レーザー・センサーにより、一層正確な測距情報が得られるようになり、さらに、よりリアルなARが実現できるようになる。レーザー・センサーは、空間の3Dマッピングや、カメラのより高性能な焦点合わせといった他のアプリにも利用できるだろう。
実際のところ、アイフォーンの次期製品にレーザー・センサーが備えられるかどうかはまだ定かではない。しかし、実現すれば大きな意味がある。
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