イーロン・マスクCEO率いるテスラは、アメリカ国内にある巨大で現代的な製造業施設に投資してきた。そして今、テスラはその事業を中国にまで拡大することを検討している。
テスラが中国における工場建設について上海市と大筋で合意したようだとブルームバーグが報道した。以前の報道によると、交渉の結果、テスラが上海の臨港開発区に工場を建設する許可が下りることになるという。ただし、現地企業と合弁会社を設立するのが条件だ。
中国に工場を作るのは、テスラにとって理にかなった判断だ。米国のビジネスニュースサイト、クオーツ(Quartz)が指摘するように、中国は世界最大の電気自動車市場である。2016年、中国は35万2000台の新しい電動移動手段を登録したが、米国での登録台数はそれを大きく下回り15万9000台だった。しかし、中国に輸入されるテスラの自動車は25%もの関税をかけられている。テスラの現行モデルの価格は、市場では涙が出るほど高価格なのだ。
だから中国の自動車メーカーによるモデルが中国国内でテスラより人気があるのも無理はない。
しかし、テスラは2017年夏早々、より手ごろな価格のテスラ・モデル3を提供する準備を整えている。3万5000ドルという価格設定の新しい自動車なら、テスラは現行モデルよりも中国車と競争できるようになる。ただし、もし25%の課税がなければの話だ。
外国市場に切り込むために現地に拠点を作ろうと試みている米国企業は、テスラだけではない。アップルはますます広がる市場をインドに見出しているが、インド国内で部材を調達しない限りインド国内に店舗を開くことが許されないため、市場開拓には限界がある。現在、アップルはインド国内で部材を調達していない。だからアップルはインドに工場を建設することを検討しているのだ。これによって制約条件は満たされることになるが、インド政府はそれでも、アップルのインド経済に対する貢献度を推し量ろうと試みている。
究極的には、アップルもテスラも、現地政府が定めるあらゆる気まぐれに従わなければならない。そしてそれには常にコストの問題が伴う。しかし一点だけ、別の問題が中国のテスラ工場に立ちはだかっている。アジアの国々での労働条件は不幸なことに悪名高いが、カリフォルニア州フリーモントにあるテスラの工場の労働条件もかなり劣悪であるという報道がある。この2つが組み合わされれば、一体どのような労働環境になるのだろうか?
(関連記事:Bloomberg, “Building Tesla,” “テスラの自動車工場はブラックか? ホワイトか?,” “The World’s Largest Electric-Vehicle Maker Hits a Speed Bump”)