ウェアラブル端末:バッテリー不要!そばのスマホやタブレットからNFCで給電
生命の再定義

A Health-Monitoring Sticker Powered by Your Cell Phone NFC給電で電池不要の
タトゥー型ガジェット

伸び縮みする電子機器でバッテリー不要の健康ガジェットが作られました。 by Katherine Bourzac2016.08.03

タトゥーみたいで電池のいらない健康監視パッチを身につけていることを想像してみよう。

これがイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のジョン・ロジャース教授による実演の背景にあるアイディアだ。伸縮性エレクトロルミネセンスのパイオニアで、ロジャース教授の研究室は、光のパルスで心拍数や日光暴露を監視する、伸縮性のある皮膚用パッチを開発した。

ただし、このパッチには電池がない。その代わり、近距離無線通信(NFC)を搭載した携帯電話やタブレットから電力を得る。NFCは、アップルペイやスマホ間で写真を転送するアプリ内でも使われており、要するに、携帯電話からでた無線信号がパッチに電力を供給し、情報を送信できるのだ。

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ウェアラブルセンサーがLECフラッシュで血中酸素濃度を計測しているところ(そばにあるスマホやタブレットが発する電波を電源にしている)

ロジャース教授は、健康監視用ガジェットは、もっと安く、小さく、軽くなる可能性がある、という。

ロジャース教授は「表皮電子工学」の専門家で、これまでにも、伸縮性のある素材の上でばねのような金属線で接続したLEDやわずかな電子部品、センサーを集積し、さまざまな装置を発明してきた。

3日、サイエンス・アドバンスィーズ誌に載ったロジャース教授の最新作は、従来の発明をいくつかまとめたものだ。たとえば、光に反応する色素で紫外線暴露量を測定するセンサーは、ロジャース教授のベンチャー企業MC10(本社マサチューセッツ州レキシントン)が開発した最初の商品でも使われたアイディアだ。My UV Patchは巨大な化粧品会社ロレアルを通して市場に出まわっているが、紫外線暴露量をモニターするためにやはり色素を利用している。

今回のデバイスは、心拍数と血液酸素量を4色のLEDでさまざまな色の光を作り、皮膚内に浴びせ、反射した光の色の変化を光検出器で即製する。心拍数は光の点滅として表示される。

このシステムの弱点は本体への電力供給だ。パッチ装着者は携帯電話やタブレットを数センチ以内に、あるいはより範囲の広いNFCリーダーを1メートル以内に持たなければならない。いずれにせよ、ほとんどの人は自分のデバイスをそばにおいているだろう。

電池を内蔵させるために、厚さが1、2ミリ増したMC10の別な商品にBioStampRCがある。人々が忙しくしている時の健康の兆候や生体力学を監視したい研究者に販売中の装置だ。バッテリー不要という新しいデザインは、病院での応用や睡眠監視といった市場を新たに開拓するかもしれない、とロジャース教授はいう。