トラックで荷物を全米中に送りたいなら、アプリを使えばいい。
ウーバーが待望の配車サービスのトラック運送版をついに発表した。ウーバー・フレイト(Uber Freight)は都会で乗客がタクシーを探すのと同じように、運送業者と仕事を求めるトラック運転手とを仲介するサービスだ。
以前からある配車サービスと同じく、ウーバー・フレイトを使えば従来のような手間がなくなるという。ウーバーは新サービスを発表するブログ記事で、 トラック運転手は検索して数回ボタンを押すだけで、簡単に仕事を見つけられるようになると謳っている。従来は「数時間かけて何度も電話をかけて」仕事を探す必要があった。
これまで運転手は自分で価格交渉しなければならなかったが、ウーバー・フレイトの料金はウーバーが決める。もちろん変動料金が採用される。運転手が間違いなくうれしいのは、ウーバー・フレイトを利用すると、以前なら30日以上かかっていた入金が7日以内に早まることだ。しかし、ウーバーで働いて稼げる報酬額に運転手が満足するかどうかはまだわからない。ウーバーの配車ビジネスでの実績を基準にして考えると、トラブルが起きるかもしれない。
話はここで終わりではない。ウーバーが運送業に進出したのは、2016年夏に自律トラック企業オットー(Otto)を買収した後のことだった。自律トラック業界は急速に成熟産業となりつつある。オットーのトラックは、ウーバーやウェイモ(Waymo)がロボット運転タクシー用に開発している自律自動車向けと同様のテクノロジーを利用するが、トラックの場合は高速道路の走行だけで事足りる面もある。高速道路の自律走行は、街中の走行よりはるかに簡単なのだ。
オットーが初めて荷物を配送したのは、昨年のことだった(州間高速道路25号線上で約193キロの短距離を走り、バドワイザーを2000ケース運んだ)。MITテクノロジーレビューは、自動運転トラックを2017年版世界を変えるテクノロジー10の1つに選んでいる。自動運転トラックは自律自動車より広く普及することが見込まれるからだ。
現時点では、ウーバー・フレイトは迅速で価格競争力の高い輸送業務を実施するための、仲介作業に追われるだろう。配車サービスのウーバーが都市住民にとってとってかけがえのないものになったように、運送業務についても常にウーバーに頼んでもらえるようにするためだ。しかし、トラック輸送のネットワークが確立して、オットーのロボットが完成してしまうと、大型トレーラーを運転する人間がウーバーにあっさり切られても気が付く人などいるだろうか? 全米中の道路を走るトラック運転手はおよそ170万人と見込まれるが、彼らを除けば誰も気にはしないだろう。
(関連記事:Uber Freight, “ブレークスルー・テクノロジー:自動運転トラック,” “自律トレーラーが乗用車より早く実用化されれば、雇用への影響は甚大だ,” “トラック業界に襲いかかるウーバー流変動料金”)