「かかってこいよ!」。世界最強のスタークラフト・プレイヤーから世界最先端AIへのメッセージだ。
宇宙空間での対戦がテーマのコンピューターゲーム、スタークラフト(StarCraft)は、人工知能(AI)プログラムにとって究極の課題だとみる人は多い。ゲーム設定が複雑でスピードが要求されるからだ。プロのスタークラフト・プレイヤーと最先端AIとの対戦を期待する声が高まったのは、昨年、世界で最も難易度が高いボードゲームの1つである囲碁において、AIプログラムが世界最強の囲碁棋士を打ち負かしたとき。多くのAI専門家がAI対人間の次の決戦の場として、スタークラフトへの参戦を望んだ。 その中の1人にディープマインドのデミス・ハサビスCEO(創業者兼最高経営責任者)がいる。ディープマインドはAI開発を主力事業とするアルファベット(グーグル)の子会社で、人間に勝利した囲碁専門のAI、アルファ碁(AlphaGo)を生み出した。
MIT Technology Review は、一流のスタークラフト・プレイヤーであるビュン・ヒュン・ウーとイ・ジェドンの2人に取材した。ビュン・ヒュン・ウーは、2016年のスタークラフトII世界チャンピオンシップ・シリーズで優勝した人物。もう1人のイ・ジェドンは最近プロ・プレイヤーを引退し、現在はスタークラフトの解説者として活躍している。アルファ碁級のプログラムが完成したらどう立ち向かうのか、どのような戦術を使うか、対戦を公平にするためどのようなルールを要求するか、という3点をそれぞれに尋ねた。
ジュンとイは、スタークラフトの対戦が世界で最も盛んな国、韓国に住んでおり、もしテレビ中継でAIプログラムと対戦する機会があれば2人とも出場するつもりだ。一方で、意見は分かれている。24歳のビュンは、「AIがプロを相手にしたら、勝てないと思います。少なくとも僕が生きている間はね」と自信満々 …