賢くなった見守りカメラが登場、顔だけでなく動きも認識
自宅の状況をスマホで確認できる見守りカメラはめずらしくないが、スタートアップ企業ライトハウスのカメラなら、自宅に誰がいて何をしているのか教えてくれる。 by Rachel Metz2017.05.18
新しいスマート・ホーム用セキュリティ・カメラ「ライトハウス(Lighthouse)」は、特定の大人を識別し、子どもやペットを見分け、何をしているかをスマホに通知してくれる。
5月11日に予約販売が開始されたライトハウスが消費者の手元に届くのは9月以降。価格は本体1台と初年度のサービス料金込みで399ドルで、その後は月額10ドルの利用料金が必要だ(ちなみにライトハウスと似たような機能を持つネスト(Nest)のカメラ本体と初年度サービス料は299ドル、以降は月額10ドル)。
ライトハウスは、コンピューター・ビジョンと自動運転車の開発に携わった経験を持つアレックス・テイッチマンCEO(最高経営責任者)とヘンドリック・ダルカンプCTO(最高技術責任者)によって開発された。ライトハウスはこれまでに投資家から1700万ドルの資金を調達しており、投資家の中にはアンドロイド(現在はグーグルの一部門)の共同創業者アンディ・ルービンもいる。
テイッチマンCEOによると、ライトハウスは3D画像処理深度カメラを含む複数のカメラを使って被写体との距離を捉え、狙った物体と背景との区別ができるという。たとえば、子どもが夜11時にリビングに入ってくる動きをライトハウスが捉えると、クラウドのサーバーにデータが送られて分析され、スマホアプリと連携して、あらかじめ設定されたアクションを起こす(アプリで設定しておけば、子どもが夜8時以降リビングに入ったら通知するようにもできる)。
ライトハウスは特定の人物が家に来たらアプリに通知を送ることもできる。見方によって便利だったり、気味が悪いと感じるかもしれないが、さらに特定の人が設定した日時に姿を見せなかったり、家の中に見知らぬ人がいたりしたら通知することもできる(アプリから警告音を出すことも可能)。
「気になる事態を設定しておけば、発生したときに教えてくれます」とテイッチマンCEOは話す。
テイッチマンCEOによると、ライトハウスのソフトウェアはアプリを介して一度それが誰かを登録しておけば、顔認識で特定の人物を識別できるという。ジオフェンシングやBluetoothといったテクノロジーを組み合わせて、スマホの存在によって人の出入りを追うことも可能とのこと。
製品デモでは、ライトハウスのアプリは、ジェシカ・ギルマーティンCMO(最高マーケテイング責任者)の質問を理解できているように見えた。たとえば、「昨日、私の留守中に犬を散歩に連れて行ったのは誰?」「今日、午前7時前に子どもたちは何をしていたの?」や、もっと単純に「日曜日、子どもたちは走ったの?」と尋ねた場合だ。犬を散歩させた人が帰宅する、ギルマーティンCMOの幼い子どもたちが午前6時と6時35分に階段を上り下りする、さらに子どもたちが友達と一緒に家の周りを走り回っている、といった映像をアプリはすぐに取り出してみせた。
ライトハウスのサービスでは映像データは30日間保管されるが、動きのあるものが写った映像だけが保管されるという。また、ユーザーはライトハウスと映像データを共有すると設定した場合のみ、保管した映像データを見られるそうだ。
ライトハウスを消費者に売り込むのは厳しい戦いになるかもしれない。市場には他にもスマート・ホーム用カメラが多数出回っており、物体認識機能を備え、ライトハウスより安価なものもたくさんある。
それでも、ライトハウスには3D認識機能や、手を振ったり、走ったり、ジャンプしたりといった動きを捉える機能があるので差別化できるはずだと、テイッチマンCEOは期待している。
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クレジット | Images courtesy of Lighthouse |
- レイチェル メッツ [Rachel Metz]米国版 モバイル担当上級編集者
- MIT Technology Reviewのモバイル担当上級編集者。幅広い範囲のスタートアップを取材する一方、支局のあるサンフランシスコ周辺で手に入るガジェットのレビュー記事も執筆しています。テックイノベーションに強い関心があり、次に起きる大きなことは何か、いつも探しています。2012年の初めにMIT Technology Reviewに加わる前はAP通信でテクノロジー担当の記者を5年務め、アップル、アマゾン、eBayなどの企業を担当して、レビュー記事を執筆していました。また、フリーランス記者として、New York Times向けにテクノロジーや犯罪記事を書いていたこともあります。カリフォルニア州パロアルト育ちで、ヒューレット・パッカードやグーグルが日常の光景の一部になっていましたが、2003年まで、テック企業の取材はまったく興味がありませんでした。転機は、偶然にパロアルト合同学区の無線LANネットワークに重大なセキュリテイ上の問題があるネタを掴んだことで訪れました。生徒の心理状態をフルネームで記載した取り扱い注意情報を、Wi-Fi経由で誰でも読み取れたのです。MIT Technology Reviewの仕事が忙しくないときは、ベイエリアでサイクリングしています。