デジタル広告業界は1990年代の誕生以来、ネット広告の威力を喧伝してきた。ネット広告は新聞広告やテレビと違って、企業が狙いを付けた消費者だけを正確に射止めることができる。興味も関心もない消費者に向けて広告を打って、予算を無駄にせずに済むというものだ。
昨年、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)のマーク・プリチャード最高マーケティング責任者(CMO)は、フェイスブックのターゲティング広告予算を削減すると宣言した。プリチャードCMOが明らかにしたP&Gが抱えるデジタル広告に対する不満は、デジタル広告が売りにしてきた「ターゲットを絞ること」の価値に対して疑問を投げかけている。
広告主向けに広告の運用管理と効果測定をサポートするプラットフォーム「アドビ・アドバタイジング・クラウド(Adobe Advertising Cloud)」を提供するアドビのティム・リオーダン特別戦略コンサルタントは、「P&Gが広告に対する方針を見直したのは、広告主にとって例外的なものではありません」と語っている(“The End of Internet Advertising as We’ve Known It”参照)。
デジタル広告を見直す動きが広がっているのかどうかは、デジタル広告費が伸び続けている現状では全体的な数字を精査しないと分からない。市場調査会社イー・マーケター(eMarketer)は、米国のデジタル広告費が2017年の830億ドルから2桁成長し、2021年には1290億ドルを超えると予測している。830億ドルは、2017年の広告費全体の見込額である2060億ドルのうち、40%近くを占める。デジタル広 …