KADOKAWA Technology Review
×
【冬割】 年間購読料20%オフキャンペーン実施中!
Is Facebook Targeting Ads at Sad Teens?

フェイスブックが狙う、10代の不幸な若者たち

フェイスブックの本業である広告に対する懸念が高まっている。フェイスブックはユーザーデータをもとに、「不安」で「価値がない」と感じている10代の若者ですら、ターゲティングの対象としようとしているようだ。 by Michael Reilly2017.05.02

フェイスブックは大量のユーザーデータを使って10代の若者(精神的に参っている人を含む)を割り出し、彼らをターゲットとした広告を売り込もうとしているようだ。

アルステクニカ(Ars Technica ) は5月1日、オーストラリアン紙が、フェイスブックが広告主向けに作成したセールストークを入手したと報じた。

アルステクニカの記事によると、このリーク文書は2017年に作成されたもので、「若者が自信を高める必要のある瞬間」をフェイスブックのアルゴリズムが判断し、広告主がピンポイントで狙えるというセールストークが書かれている。 もっと言えば、フェイスブックのセールストークには「価値がない」「不安」「敗北」「心配」「馬鹿げた」「無益な」「愚かな」「圧倒された」「ストレスを感じる」「失敗した」といった10代の心の状態が例示されており、フェイスブックはユーザーの利用状況からこれらを推測できるという。

リーク文書は、この広告が、オーストラリアとニュージーランド在住の14歳以上のユーザーをターゲットとしていることを示している。その他の国でも同様の戦略を採用しているのか? とのオーストラリアン紙の問い合わせに対して、フェイスブックはコメントをしていない。

フェイスブックは当初、リーク文書について「プロセスに問題があった」として謝罪し、関係者の「懲戒処分」の可能性にも触れていた。しかし後になって、オーストラリアン紙の記事が「誤解を招く」ものであり、ユーザーの心の状態に基づくターゲット広告は出していないという簡潔な声明を発表した。

20億人に近いユーザー数を持つフェイスブックは、地球上で最も影響力を持つインターネットサービスのひとつだ。そのため、ユーザーデータの扱いに関する論争が常について回るのは当然だと言える。たとえば2014年にフェイスブックの研究者が有力誌に発表した論文には、70万人のユーザーのニュースフィードを操作し、明るい話題と悲しい話題を表示したときのユーザーの反応の違いを確認したことが書かれている。最近では、ユーザーのオフライン時の行動に関するデータをフェイスブックがサードパーティーから買い占めており、ターゲティング広告の精度向上に活用していることも判明した。

言うまでもなく、大いなる力には大いなる責任が伴う。しかし、ユーザーデータをいじくり回してきたこれまでの歴史は、フェイスブックがユーザーへの義務を完全には理解していないことを示している。少なくともフェイスブックは、普通の人には不気味で押し付けがましいと取られかねない、驚くほどの鈍感さを何度となく見せてきた。

この事実はMIT Technology Reviewが最近、詳しく掘り下げた、一企業が持つ大きすぎる影響力への疑問につながるものだ。

(関連記事:Ars Technica, “How Facebook Learns About Your Offline Life” “We Need More Alternatives to Facebook”)

人気の記事ランキング
タグ
クレジット Photograph by Justin Sullivan | Getty
マイケル レイリー [Michael Reilly]米国版 ニュース・解説担当級上級編集者
マイケル・レイリーはニュースと解説担当の上級編集者です。ニュースに何かがあれば、おそらくそのニュースについて何か言いたいことがあります。また、MIT Technology Review(米国版)のメイン・ニュースレターであるザ・ダウンロードを作りました(ぜひ購読してください)。 MIT Technology Reviewに参加する以前は、ニューサイエンティスト誌のボストン支局長でした。科学やテクノロジーのあらゆる話題について書いてきましたので、得意分野を聞かれると困ります(元地質学者なので、火山の話は大好きです)。
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る