モービルアイ、死亡事故を起こしたテスラとの契約を打ち切ると発表
テスラ車の運転支援機能用システムを供給しているモービルアイは、テスラとの提携を打ち切ると発表した。 by Jamie Condliffe2016.07.28
自動運転・自律運転支援テクノロジーをテスラに供給しているイスラエル企業のモービルアイは、テスラとの提携を解消すると発表した。
モービルアイが現在テスラに供給しているのはシステム・オン・チップ「EyeQ」で、他にも複数の自動車メーカーが「知的車両システム用のリアルタイム視覚認識と状況判断」に使っている。だが、モービルアイは、テスラに半導体チップやアルゴリズムを供給する契約を更新しないとウォールストリート・ジャーナル紙が伝えた。
イーロン・マスクは、供給停止はテスラの事業計画に「重大な影響はない」としている。テスラが将来、EyeQシステムの代わりに何を使うのか、まだはっきりしないが、テスラはここ数カ月で半導体チップの専門家を何人も採用している。特に、AMD出身の技術者と幹部のチームや、iPhoneとiPodに使われているアップルのA4とA5チップの開発に尽力したジム・ケラーは注目だ。
袂を分かつ決断はどちら側によるか、はっきりとわからない。イーロン・マスクCEOは「モービルアイのテクノロジー開発能力は、時代遅れの自動車会社向けに何百ものモデルをサポートする必要のため、残念ながらテスラの足を引っ張っていて、テクノロジーを推進する抵抗係数が非常に大きい」と説明した。だがモービルアイは、テスラや自動運転と自社の関係に憂慮しており「高い評価を維持するには単なる供給契約に留まらず(中略)より緊密な共同作業を模索する」と昨日の電話会談で説明していた。
名指しはしていないが、モービルアイは、6月にフロリダ州で起きたテスラの死亡事故のようだ。事故ではモービルアイ製のシステムが、前方で幅寄せしてきたトラックの白い側面を、背景の空と区別できなかった。
テスラは事故以後、自社の立場をこれまで以上に強く主張している。しかしモービルアイは、この「事故は横切ってきた車両が関係しており、現行の(中略)システムは対応できるように設計されていない」と指摘した。
国家運輸安全委員会の暫定報告書では、事故を起こしたテスラ モデルSは、トラックに衝突したとき、制限速度時速105kmの区間を時速119kmで走行しており、車両が「オートパイロット」で制御されていたことは間違いないとしている(現時点では、これ以上の見解は示されていない)。
モービルアイは、2018年に予定されている次世代のEyeQシステムは、前方で車線変更する車両を識別できると説明したが、テスラがこのシステムを使う予定はない。しかしモービルアイは、電話会談での主張を貫くために開発を続ける予定で、同社は最近BMWとインテルとの提携に参加し、2021までに完全自律運転車両を開発する計画だ。
関連ページ
- Wall Street Journal
- Bloomberg
- “Fatal Tesla Autopilot Crash Is a Reminder Autonomous Cars Will Sometimes Screw Up”
- “Tesla’s Dubious Claims About Autopilot’s Safety Record”
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- ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
- MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。