起業家のアーサー・カマラとベニー・ジアンは、ワイ・コンビネーターから出資を受けたいと考えている。だが、ワイ・コンビネーター(シリコンバレーで屈指のスタートアップ・アクセラレーター)の競争率の高い選考を突破できたとしても、カマラとジアンにはまだ大きな問題が残っている。ふたりが住んでいるのはバンクーバー(カナダ)で、ワイ・コンビネーターのあるマウンテンビュー(カリフォルニア州)までは通えないのだ。
ところがこの1カ月、ふたりは自宅にいながらにしてワイ・コンビネーターの仕事の一環を体験している。4月初旬から、ワイ・コンビネーターは10週間の無料オンライン・コース「スタートアップ・スクール」を開始したのだ。テック業界のトップ・ランナーが提供する起業についてのオンライン授業、過去にワイ・コンビネーターから出資を受けた人によるオンライン指導、受講者同士のサポートを組み合わせ、アクセラレーターで得られる体験の一部を再現している。コースの最後には、起業家が作り上げたものを共有するオンラインデモの機会がある。
こうしたコースは、実際に起業家と会合して出資を決めるタイプのスタートアップ・アクセラレーターでは実施されないだろう。だがエアー・ビー・アンド・ビー(Airbnb)やレディット(Reddit)やドロップ・ボックス(Dropbox)を輩出したワイ・コンビネーターは、ベイエリアに拠点を移すことなくテック企業の事業を軌道に乗せる方 …