アメリカで自動運転車に乗る初めての一般人になりたければ、今すぐ荷物をまとめてフェニックスに引っ越そう。
ウェイモ(Waymo、グーグルの自動運転車事業から独立した企業)は25日の発表で、アリゾナ州フェニックス周辺に暮らす数百世帯に対して、自動運転車に試乗できる無料のオンデマンド型サービスを提供する計画を明らかにした。
ウェイモのジョン・クラフチク最高経営責任者(CEO)はミディアムに投稿した記事で「この事業の目標は、参加者に1、2回限りの乗車サービスを提供することではなく、弊社の車に乗り、サンフランシスコの約2倍の大きさの都市を毎日いつでも移動できるような機会を提供することです」と述べた。
フェニックス周辺に暮らす人々がどれだけ試乗体験を利用するかが重要だ、と考えているクラフチクCEOの説明からわかるのは、ウェイモが利用者数を詳細に見積もり、サービスの成功に自信を持っていることだ。ウェイモの事業は、昨年ピッツバーグで自動運転タクシー車両による配車サービスを開始したウーバーと似ている。
ウーバーによるピッツバーグの試験走行では、同社の自律運転テクノロジーが完全に満足のいく品質からは程遠いことがわかっている(「What to Know Before You Get In a Self-driving Car」参照)。さらに試験走行の以降、配車サービス大手のウーバーが提供する自律自動車事業は、ウェイモのライダーテクノロジーを盗用したとの批判を受けるなど、厳しい状況に陥っている。
一方ウェイモは、自律運転車として使うクライスラーの「ミニバンパシフィカ・ハイブリッド」とレクサスのSUV「RX450h」で、試乗者を通勤やサッカーの練習、ちょっとした用事のために人を運ぶ準備が整っていると考えているようだ。ウェイモは、それぞれの試乗車両に必ずテスト・ドライバーが同乗すると明らかにしているが、クラフチクCEOはこの試験の目的について、ウェイモの車両がどう使われるのか(どこに行くのか、乗車中に車両をどう操作するかなど)の理解を深めることだという。
ウェイモが車両の利用状況を把握しようとしていることは、自律自動車で実際に利益を上げる方法に関心が高まっている(それこそが、そもそもグーグルの事業が会社化することになった本来の理由だ)ほど、自律運転テクノロジーが十分に発達している証拠かもしれない。同様に、ますます成長を続ける競合企業からの大きな圧力もあって、ウェイモは開発を続けている。
やる気の有無に関わらず、この試乗サービスからは、一般人が機会を与えられた場合、自律型移動手段をどう利用するのかのデータが得られる。自律自動車の実験に何年も費やしてきたウェイモの経験が何かを意味するとすれば、予期せぬ結果が数多く生じることは間違いない。
(関連記事:The Verge, Waymo blog, “試験中の自動運転タクシーはしばらく試験中のままな理由,” “315kmごとに重大事故を起こし得る自動運転の「成熟度」”)