グーグルは、ライブアクション映画(ゴーグルの動きに合わせて映像の視野が変わる映画)やVR体験を重ねることで、バーチャルリアリティを使うことに興味を持ってもらえると確信している。そこで新型高級カメラシステム「Halo」の開発を進め、映画制作者がたくさんのVR作品を作ってくれることを願っている。
VRプラットフォーム「Jump」用として24日に発表されたHaloは、中国のカメラ会社Yi製で、17個のカメラを内蔵している。そのうち16個は環状に配置され、1個が上方を撮影することで、撮像空間全体が滑らかな映像になる。
Haloは、以前のグーグルのカメラシステム(ゴープロ製「Odyssey」)と同様、映画制作者等のプロ向け製品で、価格は1万7000ドル。Odysseyより2000ドル高いが、上方カメラ付きで軽量で持ち運びやすく、タッチ画面で操作でき、バッテリーを内蔵している。
グーグルやフェイスブック等の数社は、各社の発想で作られたライブアクションVRカメラにより、実質現実(VR)で鑑賞し、探究する作品をさらに多く生み出せると考えている。一般消費者にVRがなかなか普及しないのは、高価でかさばるゴーグルにも原因があるが、魅力的な作品が足りないのも一因であり、作品の制作者を刺激するカメラの提供は重要だ(“Oculus Rift Is Too Cool to Ignore”」参照)。特にグーグルとフェイスブックはVRゴーグル(グーグルはスマートフォン向けのDaydream View、フェイスブックは子会社オキュラスがリフト)も販売しており、誕生間もないVR市場の将来を握っている。
また、グーグルがVRカメラに投資して新製品を発表したことは、ユーザーが実際にDaydreamゴーグルをどう使っているか考えれば当然だ。先週、カメラを披露するメディアイベントでグーグルのアミット・シン部長(VR部門担当)は、ユーザーがゴーグルを使う時間の半分以上は、動画を見ていると述べた。第1世代のカメラ「Jump」で動画を制作してきた企業には、ニューヨーク・タイムズ紙や NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)等がある。
とはいえ、多くの映画制作者はVRカメラに何千ドルも払えない。そこでグーグルは無料でHaloとVR動画制作用のソフトウェアを使わせてくれる「Jump Start」プログラムを開始した。
グーグルの発表は、フェイスブックによる最新のVRカメラ発表から1週間も過ぎていない。フェイスブックのVRカメラはライブアクション動画を奥行きデータ付きで撮影できるので、頭の位置の動きを検出できるゴーグルなら、着用中に動き回ると映像は奥行き方向にも追随して変化する。グーグルの新型Jumpカメラなど、最新のVRカメラのほとんどは、奥行きデータまでは撮影できない(頭を回せば、魚眼レンズで撮影された動画や写真の視野は変わる)。