GEアプライアンス、音で乾かす超音波乾燥機を製品化?
米国のオークリッジ国立研究所(エネルギー省管轄の研究機関)が開発した音で乾かす超音波乾燥機を、GEアプライアンスがプレス型乾燥機(業務用の乾燥機)として製品化するかもしれない。熱より効率的に水分を除去できる。 by Jamie Condliffe2017.04.21
熱で乾かすことは忘れよう。洗濯物を乾燥させたいなら、大音量がいい。少なくともオークリッジ国立研究所(米エネルギー省管轄の研究機関)の研究室はそう考えている。オークリッジ国立研究所の研究者は、高温で乾かす従来方式に比べて、はるかに消費電力が少ない超音波式の衣類乾燥機を開発中だ。
あえて調べるまでもなく、衣類乾燥機が電気を大量に使うことは知っているだろう。天然資源保護協議会が2014年に発表した報告書によれば、一般的な家庭用乾燥機は、冷蔵庫や食器洗い機、洗濯機、洗濯乾燥機と同様、年間で見て、大量の電気を使っている。米エネルギー省のエネルギー統計情報局によると、乾燥機は全米の家庭の電気消費量の4%を占める。
ここ数年、生地から水分を取り除く新方法を開発しているオークリッジ国立研究所のアイユーブ・モメン研究員はこの問題を見逃さなかった。モメン研究員の構想は、ドラムに圧電型の超音波変換器を並べ、熱ではなく高周波の音で洗濯物を乾かす衣類乾燥機を作ることだ。
映像からわかるように、生地から出た小さな水滴を超音波で振動させ、微細な霧を作るのが基本的な仕組みだ。一般的な乾燥機と同様、霧はドラムの周囲に吸い寄せられ、排水される。
モメン研究員のチームが開発した試作品では、実際にうまく乾燥できるようだ。研究チームが組み立てた実物大の乾燥機は、入れすぎない程度の洗濯物を20分で乾燥でき、50分かかる一般的な乾燥機よりも早かった。試作した乾燥機の電力消費量は通常の70%だった。
うれしいことに、試作品は研究のままで終わらない。プロジェクトはGEアプライアンスと共同で実施され、現在プレス型乾燥機にこの手法を導入する計画がある。将来的には、一般的なドラム式乾燥機に採用することも検討中だ。大音量で洗濯物を乾かす日は近いかもしれない。
(関連記事:Office of Energy Efficiency & Renewable Energy, BBC)
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- ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
- MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。