グーグルは新型の強力な機械学習の手法を用いて、巨大データセンターの膨大な電力消費量 (数億ドル分)を節約している。
使われている新手法は、タスクを完了する方法を「正の強化」により徐々に学ぶ機械学習アルゴリズムで、幅広い分野ですぐに使われそうだ。
グーグルの子会社であるグーグル ディープマインド(本社英国)のデミス・ハサビスCEOは、最近ある会議で、同社が開発した手法で、グーグルがデータセンターのエネルギー効率を向上させていると述べた。巨大なサーバー群が設置されている建物の電気料金が膨大であり、数%の削減でもグーグルは年間数億ドルを削減できる。
2014 年にグーグルが約6億ドルで買収したディープマインドは、大規模な人工ニューラルネットワークと強化学習との組み合わせにより、コンピューターを訓練して複雑なタスクを容易に処理できることを示した。また、超人レベルで黎明期のアタリ製ゲームを習得するアルゴリズムもデモ公開した。今年はじめには、複雑で難解な中国発祥の「碁」を打つためのプログラム「AlphaGo」を開発し、常勝チャンピオンの1人を倒した模様は、世界中で大々的に報道された。
グーグルは今、ディープマインドのテクノロジーをもっと実用性の高い場面に活用しようとしているようだ。ハサビスCEOは会議で以下のように述べたと報じられている。
「ディープマインドでは、多様なデータセンター環境について実験した(シミュレーションの場合もある)強化学習アルゴリズムを開発しました。冷却システムや窓の存在も考慮して、全体の電力消費を下げられました」
今後、グーグルはおそらく、消費者製品を含む多くの分野に強化学習を応用するだろう。先週ディープマインドのデビッド・シルバー研究員の講演では「AlphaGo」を実現したテクノロジーの事業化を進めていることが明らかになった。直近の製品としては、バーチャル個人アシスタントの形態が考えられる。
「長い間、強化学習は聞こえのいい空想と思われてきました。しかし現在、強化学習メカニズムに実用性が備わり、今すぐに(応用分野を)検討できる分野には、多くの可能性があると思います」(シルバー研究員)