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SpaceX Has a Reusable Rocket, and Now the Race Is on to Perfect Them

「商用宇宙旅行」時代の再利用型ロケット開発競争

軍事と研究用途で始まった宇宙開発は、スペースXの再利用型ロケットの打ち上げ・回収成功で「商用宇宙旅行」時代を迎えた。ただし、スペースXの成功は1回だけ。独自の方法を目指す競合他社もあり、実際には再利用型ロケットの開発競争が始まったばかりの段階だ。 by Jamie Condliffe2017.04.07

ロケットのリサイクルは将来成功の見込みがある新しいアイデアであり、スペースXの先行は明らかだ。だが実際には、打ち上げは1回しか成功しておらず、スペースXの優位を崩す手法を開発できる領域はほかにも多くある。

スペースXは先週、修理調整済みのロケット打ち上げに成功し、衛星を静止軌道に乗せ、さらに再打ち上げの第一段階に到達したばかりだ。スペースXの長期的目標は、ロケットを24時間以内に完璧に整備することだ。これができるれば、たった1日でロケットを発射して回収し、再発射できる。

ロケット回収成功は偉業だ。だが、発射成功でも、スペースXの手法でどの程度費用対効果があるのかはわからない。そういうわけで、ロケットをリサイクルするテクノロジーは今週、コロラドスプリングス(コロラド州)で開催された第33回宇宙シンポジウムで注目の話題になった。シンポジウムには宇宙産業の大物が集まり、自分たちの進捗状況を共有した。

ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA、米国防総省と米国航空宇宙局(NASA)に打ち上げサービスを提供する、ロッキード・マーチンとボーイングの合弁企業で、ロケットの再利用に関しては実験以前の段階)のトリー・ブルーノ最高経営責任者(CEO)は、スペースXの手法が間違いなく正しいやり方なのか確信できないでいる。フィナンシャル・タイムズ紙(ペイウォール)の記事によれば、ブルーノCEOはシンポジウムでスペースXの手法が「間違いなくコスト面で優れた、革新的代替手段とは限らない」と語った。その後フロリダ・トゥデイ紙の取材に応じて、ロケットのリサイクルに関しては「何が最良の方法かまだ決まったわけではない」と述べた。

スペースXは反論するだろう。スペースXのグイン・ショットウェル社長によれば、同社の手法で一度利用したブースターを修理調整し再利用するコストは、新しいブースターを使うのに比べて「実質半分未満」だったという。さらに状況は改善するはずだ。ショットウェル社長は、スペースXが「今回のロケットにはさらに改良・実験を重ねて将来に備える」必要があると付け加えた。

イーロン・マスクは、今回の打ち上げで削減できたコストが、スペースXのサービスを利用したい顧客に還元されることはない、と打ち上げ直後に語った。再利用型ロケット開発の投資額は現在まで10億ドルにも達しており、ロケット打ち上げコストの削減分は「巨額の開発資金を回収する」ために使われるという。

マスクは先週、ロケット再利用の成功後に、再利用型ロケットの実用化を進めない打ち上げ企業は、今後行き詰まるとの強い認識を示した。マスクの考えは間違ってはいないだろう。だが、マスクが所有するスペースXのやり方がこそが完璧とは限らない。

スペースXのライバルになるULAは、部品の再利用方法を探っている。ただし、スペースXとは異なり、発射第一段階で用いる全部品を再利用するのではなく、自社製バルカン・ロケットの両側に取り付けたブースター・エンジンを回収する計画だ。ULAの主張では、この方法のほうがコストを削減できるという。一方アマゾンのジェフ・ベゾスCEOが所有する宇宙企業ブルーオリジンもロケットのリサイクルに挑戦中だ。ただし、ブルーオリジンの方法はスペースXと同様だ。

この種の競争的イノベーションは数カ月単位で展開しており、宇宙産業にとっては多少なりの進歩といえるだろう。以前、宇宙産業の変化はもっと遅かった。また、現時点ではスペースXがリードしているが、だからといって宇宙産業を制するとは限らない。「どんな結末になるかは不透明です。だからこそ各社はさまざまな手法を試しているのです」とブルーCEOはフロリダ・トゥデイ紙の取材で述べた。「どの企業の方法がうまく行くのか、よく見ていきます。それが競争の素晴らしい点です」

ひとつ確かなのは、商用宇宙飛行の時代が確実に到来したことだ。シリコンバレー流の企業が多数参入してきて、ハイテク業界の新規参加者は、自社こそ最先端だと自慢している。

(関連記事:Space News, Financial Times, “スペースX、次は24時間以内のロケット再発射に挑戦,” “ベゾス、マスク、ブランソンが宇宙ビジネスを手掛ける理由,” “Reusable Rockets”)

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