KADOKAWA Technology Review
×
2024年を代表する若きイノベーターたちに会える!【11/20】は東京・日本橋のIU35 Japan Summitへ
Cheap Gas and Big Cars Are Killing Obama’s Fuel Economy Push

米国人はデカい車が大好きで
オバマ政権の政策が台無し

アメリカ人は軽トラとSUVが大好きで、電気自動車や燃費のよい乗用車は普及しそうにない。 by Jamie Condliffe2016.07.20

米国のオバマ大統領は2011年、1リットルあたりの燃費を2025年までに平均23.2kmに高めることで自動車メーカー13社と合意したと発表した。だが、現在、政府の2つの報告書で、ガソリン価格の下落と米国人のトラック好きが原因で、合意の達成が不可能になりつつあることが示されている。

米国運輸省と連邦環境保護庁は、報告書のドラフトで2011年にオバマ政権が約束したことがほぼ達成不能だと発表した。両省庁によれば、原因はガソリン価格が低価格のままであること、乗用車よりもトラックの人気が続いていることの両方だ。状況が一気に変わらない限り、燃費は最大でも1リットルあたり約21.3kmにしか達しないという。

2012年に調整されたメーカーごとの燃費達成基準(CAFE)では、2017年製造車のガソリン消費量は1リットルあたり約15.6km、2025年は1リットルあたり平均23.2kmに設定されていた。このうち、2017年の目標値は達成できそうだが、トラックの需要が少なくなることを前提にした2025年の目標値の達成は難しそうだ。むしろ現実には、ガソリン価格の下落により、昨年軽トラックやSUV車の需要は昨年来伸びていると見られる。

もし自動車業界がこの傾向を理解した上で合意を守るなら、今後数年間は乗用車の購入希望者に、燃費の優れた車種を勧める必要がある。消費者が欲しいのは明らかに大型車であり、電気自動車のシェアは自動車全体から見れば小さくて高価であることから、自動車メーカーは購入者が小型で燃費のよい乗用車に関心を移すとは考えにくい。

大型車の重量を劇的に減らすひとつの手法がある。従来、重量の削減といえばアルミニウムやマグネシウムを使っていたが、炭素繊維の価格が下がり、自動車の材料としてますます魅力的になっているのだ。同じトラックやSUVに小型のエンジンを搭載すれば燃費を下げられるが、より効果的な解決策として、超効率的ハイブリッド設計も、燃費を向上させ、エンジンの出力を保つ手法といえる。

自動車メーカーは当然、こうしたテクノロジーに取り組んでおり、欠けているのは、ガソリン価格の下落で大型車になびく消費者へのよい販売方法だけなのだ。

関連ページ

人気の記事ランキング
  1. How ChatGPT search paves the way for AI agents 脱チャットGPTへ、オープンAIが強化するプラットフォーム戦略
  2. Promotion NIHONBASHI SPACE WEEK 2024 アジア最大級の宇宙ビジネスイベント、東京・日本橋でまもなく開催
  3. Promotion Innovators Under 35 Japan Summit 2024 in Nihonbashi 2024年のイノベーターが集結「U35 Summit」参加者募集中
  4. The winners of Innovators under 35 Japan 2024 have been announced MITTRが選ぶ、 日本発U35イノベーター 2024年版
  5. This AI-generated Minecraft may represent the future of real-time video generation AIがリアルタイムで作り出す、驚きのマイクラ風生成動画
  6. OpenAI brings a new web search tool to ChatGPT チャットGPTに生成AI検索、グーグルの牙城崩せるか
タグ
クレジット Photograph by Joe Raedle | Getty
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
▼Promotion イノベーター under35 2024
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る