KADOKAWA Technology Review
×
【冬割】 年間購読料20%オフキャンペーン実施中!
イーロン・マスクは
「ニューラリンク」の社名を
買っていた
カバーストーリー Insider Online限定
Meet the Guys Who Sold “Neuralink” to Elon Musk without Even Realizing It

イーロン・マスクは
「ニューラリンク」の社名を
買っていた

イーロン・マスクが設立した脳コンピューター・インターフェイス企業「ニューラリンク」の社名は、他社から商標を買い取って付けたことがわかった。億万長者は、なぜこの名前にこだわったのか? by Antonio Regalado2017.04.05

イーロン・マスクが精神・機械インターフェイス企業のニューラリンク(Neuralink)を設立することが先週わかった。テスラやソーラーシティ、スペースX、ハイパーループといったマスクの「大計画」リストに新たな名前が加わるのだ。

人間と機械を融合させるマスクの新事業のニュースがソーシャルメディアで話題になったとき、ケース・ウェスタン・リザーブ大学(オハイオ州)のペドラム・モーセニ教授(電気工学)は、しまった!と思っていたかもしれない。

モーセニ教授は1月、相手がマスクとは知らずに「ニューラリンク」の商標の売却に同意したのだ。

ケース・ウェスタン・リザーブ大学のモーセニ教授は、カンザス大学医療センターのランドルフ・ヌード教授と2015年にスタートアップ企業を設立して以来「ニューラリンク」の商標を共同で保有していた。

長年神経工学を研究してきたモーセニ教授とヌード教授は、脳を損傷した人をサポートするための装置を開発した。最初に投資家に説明した時に進展はなかったが、その後社名を数万ドルで買いたいという人物が現れた。ふたりは売却を承諾したが、イーロン・マスク(フォーブズ誌によれば147億ドルの純資産がある)の申し出とは知らされていなかった。

モーセニ教授は「社名の購入希望者が来て交渉しました。手続きを経て、マスクが合法的にニューラリンクの所有者になるのです」という。

モーセニ教授は数万ドルでの買収を恨むどころか喜んでいる。長い間、少数の神経科学者だけが粘り強く進めてきた遠大なアイデアに、ようやく大手テック企業が資金を注ぎ始めたのだ。

マスクの他に、オンライン決済サービスの創業者ブライアン・ジョンソンも、脳インプラントの開発会社カーネルに1億ドルを投じている。

マスクの新会社の全容を調べたウォール・ストリート・ジャーナル紙の報告書によると、ニューラリンクは病気の新たな治療法を開発し、ゆくゆくは人間と人工知能を融合させる方法を開発するという。人工知能が人間の知性を凌駕するリスクに対処するには、人間の脳も人工知能並みに進化する必要がある、とマスクは考えているのだ。

マスクは、電気自動車会社のテスラや宇宙ロケット会社のスペースXに続いて、新たなハイテクベンチャー企業に「時間を割くのは難しい、しかしやらなければ人間の存在が大きく脅かされるだろう」とツイートした。

脳と機械をつなぐテクノロジーで、どうすれば人間はAIに追随できるのか? その方法はまだ誰にもわ …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【冬割】実施中! 年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
  1. AI’s search for more energy is growing more urgent 生成AIの隠れた代償、激増するデータセンターの環境負荷
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る