レーザー製鉄、非希土類磁石
ARPA-Eサミットで見た
気候イノベーション4つ
レーザーによる鉄製造プロセスから、レアアースを含まない磁石、ナトリウムイオン電池まで、ARPA-E(エネルギー高等研究計画局)エネルギーイノベーション・サミットでは、同局が資金提供するプロジェクトの成果が一挙に紹介された。 by Casey Crownhart2025.03.21
- この記事の3つのポイント
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- ARPA-Eのサミットで多様なエネルギー研究の成果が展示された
- 本誌はレーザーを使った鉄鋼生産や地下資源を利用した水素製造などに注目
- データセンターの電力需要に対応するナトリウムイオン電池などの展示もあった
レーザー、エレキギター、そして新型のバッテリーがたくさん並んだラック——これらすべてが同じ巨大な部屋の中にある。ここはどこだろうか? 答えは、ワシントンDC郊外で3月17日から19日にかけて開催された「2025年ARPA-Eエネルギー・イノベーション・サミット」の会場だ。
エネルギー・イノベーションは多くの形で具体化され得る。サミットでは、そうした多様なエネルギー研究の成果が展示された。 米国エネルギー省の一部門であるARPA-E(エネルギー高等研究計画局)は、ハイリスク・ハイリターンの研究プロジェクトに資金を提供している。サミットには、同局が資金を提供してきたプロジェクトとともに、投資家、政策立案者、ジャーナリストらが集まった。
サミット開催中、何百ものプロジェクトが巨大なホールに展示され、デモンストレーションや研究成果が紹介された。ここでは、MIT テクノロジーレビューが会場で見つけた、特に興味深い4つのイノベーションを取り上げよう。
レーザーで作られた鉄鋼
スタートアップ企業のライムライト・スチール(Limelight Steel)は、レーザーを使って鉄鉱石を超高温まで加熱することにより、鉄鋼の主成分である鉄を製造するプロセスを開発した。
鉄鋼生産は現在、世界の温室効果ガス排出量の約8%を占めている。その理由の1つは、ほとんどの鉄鋼がいまだに溶鉱炉で製造されており、化学反応を引き起こすのに必要な高温を石炭で作り出していることである。
ライムライトはその代わりに鉄鉱石にレーザーを照射し、1600℃以上に加熱する。その後、溶けた鉄を不純物から分離すれば、あとは既存の工程で鉄鋼を作ることができる。
同社は、10グラムから20グラムの鉱石を処理できる約1.5キロワットのレーザー出力を持つ小型の実証システムを構築した。システム全体は、それぞれ切手より少し大きい程度のレーザー・アレイ16個で構成されている。
実証システムのコンポーネントには市販品が使われている。この特殊なタイプのレーザーは、プロジェクターで使用されているものだ。ライムライトは、電気通信業界における長年の進歩から恩恵を受けており、その成果を役立てることでレーザーのコストを下げることができたと、同社の共同創業者でCTO(最高技術責任者)のアンディ・ザオは言う。 …
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