「想定外」の事態も想定、
実世界と99.7%一致する
自動運転シミュレーション
カナダの自動運転スタートアップ企業ワービ(Waabi)は、シミュレーション環境で自律運転トラックの安全性を実証しようとしている。同社のシミュレーションは、荷台から飛んできたマットレスなど通常予測できない危険も再現するという。 by Will Douglas Heaven2025.03.14
- この記事の3つのポイント
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- ワービは超高精度のシミュレーションで無人トラックの安全性を証明できると主張
- ワービ・ワールドは99.7%の正確さで実際のトラックの挙動を再現できるという
- ワービは年内に無人運転を開始し、規制当局にシステムの安全性を証明する予定
自動運転トラックを開発中のカナダのスタートアップ企業、ワービ(Waabi)によると、同社の超高精度のバーチャル・シミュレーションは、現実の道路で長距離を走行させることなく、無人大型トラックの安全性を証明できるほど十分な正確さを備えているという。
ワービは、実際の自動運転トラックをデジタルツインとして再現し、現実のセンサーデータを反映させた上で、そのデジタルツインの挙動が、実際の道路を走るトラックの挙動とどの程度一致するかを検証している。ワービによれば、現在のところ、両者の結果はほぼ完全に一致しているという。同社は、単に実走行距離を積み重ねるという競合他社の一般的な手法よりも、自社のアプローチの方が安全性の実証において優れていると主張している。
「これは業界に説明責任をもたらすものです」。ワービの創業者兼最高経営責任者(CEO)のラケル・ウルタスンは語る。「もはや言い訳は通用しません」。ウルタスンCEOはトロント大学の教授でもある。
ウルタスンCEOは以前、配車大手のウーバー(Uber)で無人運転自動車部門のトップを務めていたが、自律運転の開発について異なるビジョンを持ち、2021年にワービを設立した。ワービは現在、ウーバー・フレート(Uber Freight)やボルボ(Volvo)と提携し、2023年からテキサス州の公道でトラックの実車を走行させている。しかし、同社の開発の大部分は「ワービ・ワールド(Waabi World)」と呼ばれるシミュレーション環境の中で進められている。ワービは現在、「シム・ファースト(sim-first)」のアプローチを次の段階へと進め、ワービ・ワールドを用いて自社の運転モデルを訓練・テストするだけでなく、現実世界での安全性を証明することにも取り組んでいる。
現在のところ、ワービのトラックは運転席に人間のドライバーが乗車している。しかし、同社は年内に無人運転を開始する予定であり、そのためには規制当局にシステムの安全性を証明する必要がある。「これらのトラックは約3万6287キログラム(8万ポンド)もあります」とウルタスンCEOは語る。「まさに巨大なロボットなのです」。
ウルタスンCEOは、実際の道路を走行させるだけでは、ワービのトラックの安全性を証明することは不可能だと主張している。多くのロボット・タクシーが混雑した市街地を走行するのとは異なり、ワービのトラックの多くは、何百マイルにもわたって直線的な高速道路を走行する。そのため、シ …
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