「月でもスマホ」利用可能に? ノキア、初の4G通信網構築へ
2月後半に打ち上げ予定の月面ミッションでは、4G移動体通信ネットワークが初めて設置される予定だ。月面での人類の活動拡大を見据え、将来は月面でのスマホ利用も可能になるかもしれない。 by Jacek Krywko2025.02.20
初の商用月着陸船を開発した民間企業インテュイティブ・マシーンズ(Intuitive Machines)は2月後半、2回目となる月面ミッション「IM-2」を米国航空宇宙局(NASA)のケネディ宇宙センターから打ち上げる予定だ。この計画では、着陸船(ランダー)、探査車(ローバー)、ホッパー(短距離をジャンプして移動する探査機)を月面南極付近に展開し、水氷が存在する可能性のある場所を探査するとともに、通信衛星を月周回軌道に投入することになっている。
さらに、IM-2ミッションでは、月面や宇宙空間でこれまでに設置されたことのない、完全に機能する4G移動体通信ネットワークを導入する予定だ。
送信アンテナと受信アンテナの間に直接の見通しが必要な1対1無線(point-to-point radio)通信は、アポロ計画以来、地上通信や地球とのリンクの基盤となってきた。過去に宇宙で1対1無線を使用することは、それほど問題にはならなかった。通信する対象がそれほど多くなかったからだ。通常、地球と通信するのは、1機の宇宙船、着陸船、または探査車のみだった。また、送信するデータ量もそれほど多くはなかった。
「それらは『超高周波(UHF: Ultra High Frequency)』または『極超高周波(VHF: Very High Frequency)』技術に基づいており、比較的少数のデバイスを低いデータ・スループットで接続する仕組みでした」と語るのは、ノキア・ベル研究所ソリューション・リサーチ(Nokia Bell Labs Solutions Research)のティエリー・クライン所長だ。同研究所は2020年にNASAから月面向けの移動体通信ネットワークの設計を委託された。
だが、近いうちに月面は大幅に混雑する可能性がある。NASAのアルテミス計画では、早ければ2028年にも宇宙飛行士を月面に再び送り込み、2030年代には恒久的な居住施設を …
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