アマゾン・タップ(Amazon Tap、音声アシスト「エコー」機能内蔵のBluetoothスピーカー)やドップラー・ラボのスマート無線イヤホンなど、持ち運び可能な音声認識機器の普及により、自宅でも移動時でも、音声入力で音楽を再生したり、Webを検索したり、電話の着信時に応答できるようになった。だが、マイク内蔵の機器は砂ぼこりや湿気の影響で故障しやすく、1回の充電で数時間しか使えないこともあり、購入時に思い描いたほどには使う機会がない。
ボストンのスタートアップ企業ベスパー(Vesper)が解決策をもたらした。「カンチレバー構造」(水泳の飛び込み板のように、片方が固定され、もう片方は固定されていないはり構造のこと)を使うことで従来のマイクよりも故障に強く、エネルギー効率が高い、小型の圧電マイクロホンだ。ベスパーは今年下期に出荷予定としており、機器にこのマイクを組み込めば、音声認識装置を屋外や悪天候時でも気にせず使えるし、エネルギー効率が高いので、1回の充電で何日も使えるようになる。
新方式のマイクが故障に強いことを示すため、ベスパーは製品をビールやソーダに浸したり、サラダ油の混じった蒸気を吹き付けたり、砂塵を模した結晶シリカを吹き付けたり、高所から硬い地面に落下させたりしてみせた(上下の動画参照)。新方式のマイク(ごま粒ふたつ分程度の大きさのマイクが隣り合って設置される)は、どんなことをしても壊れないわけではないが、水やホコリ、振動に強く、従来方式のマイクなら信号を大きく損失するベスパーのストレステスト後も、性能を保った。
従来方式のマイク(コンデンサー・マイク)は、硬い背極(バックプレート)と柔らかい振動膜により、音 …