「光量子コン実用化へ、新ベンチャーで挑戦」アサバナント・ワリット
MITテクノロジーレビュー「Innovators Under 35 Japan Summit 2024」から、東京大学/理化学研究所/OptQC所属のアサバナント・ワリット氏のプレゼンテーションの内容を要約して紹介する。 by MIT Technology Review Japan2025.01.08
MITテクノロジーレビューは2024年11月20日、「Innovators Under 35 Japan Summit 2024」を開催した。Innovators Under 35は、テクノロジーを用いて世界的な課題解決に取り組む若きイノベーターの発掘、支援を目的とするアワード。5 回目の開催となる本年度は、国内外で活躍する35歳未満の起業家や研究者など10名のイノベーターを選出した。
その受賞者が集う本サミットでは、各受賞者が自らの活動内容とその思い、今後の抱負を3分間で語った。プレゼンテーションの内容を要約して紹介する。
アサバナント・ワリット(東京大学/理化学研究所/OptQC)
光量子コンピューターの開発者として、「量子」と「光」という2つの重要な要素を組み合わせた革新的な研究に取り組んでいます。私たちのシステムでは、特に「光」の活用に重点を置いています。現在の情報通信でも光通信が広く使われているように、光は高速な情報処理を可能にする特性を持っています。そのため、光量子コンピューターは、量子の特性と光の高速性を兼ね備えた計算能力を秘めているのです。
光量子コンピューターには3つの重要な特徴があります。1つ目は、比較的普通の環境でも動作が可能という点です。2019年に開発したシステムは、特別な環境ではなく、一般的な室温に近い条件下で稼働させることができました。2つ目は、時間多重や周波数多重などの技術により、少数の構成要素で大規模な計算が可能である点です。さらに、既存の光通信技術も活用できるという利点があります。
これまでの私の研究開発では、量子もつれや量子ビットなど、さまざまな技術を確立してきました。今後の展開として、2024年9月にOptQCというベンチャー企業を設立しました。まだ克服すべき課題は多くありますが、この企業を通じて、多様な人材やユーザー、そしてサプライチェーンを巻き込みながら、光量子コンピューターの実用化と普及を目指していきたいと考えています。
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- MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]日本版 編集部
- MITテクノロジーレビュー(日本版)編集部