Long-acting HIV prevention meds: 10 Breakthrough Technologies 2025 長時間作用型HIV予防薬
ギリアドが製造するHIV感染予防の新薬は、ほぼ100%に近い感染予防効果があることが臨床試験で示された。しかも、年に2回注射するだけですむので、人々への負担も少ない。
by Jessica Hamzelou 2025.01.15- キープレイヤー
- ギリアド・サイエンシズ(Gilead Sciences)、グラクソ・スミスクライン、ヴィーブヘルスケア(ViiV Healthcare)
- 実現時期
- 1~3年後
2024年6月、HIVを予防する新薬の臨床試験結果が発表された。それは、驚くべきものだった。6カ月ごとに1度注射する治療薬のレナカパビル(Lenacapavir)は、ウガンダと南アフリカで5000人以上の少女と女性をHIV感染から守った。しかも、その有効性は100%だった。
ギリアド・サイエンシズ(Gilead Sciences)が製造するこの薬には、他の利点もある。2012年以降、HIVの曝露前予防薬(PrEP)には有効なものが登場しているが、それらの薬は毎日、あるいはウイルスへの曝露前に毎回、摂取しなければならない。これは健康な人々にとって大きな負担である。また、それらの薬は感染症の治療薬でもあるため、服用には社会的に悪いイメージがつきまとう。一部の人にとっては、この薬が高価だったり、入手が困難だったりする合もある。レナカパビルの臨床試験では、この新薬の注射が、毎日のPrEP錠剤の服用よりも効果的であることが分かった。これはおそらく、PrEP錠剤服用の対象となった参加者が、毎日服用できなかったことが原因だろう。
2021年、米国食品医薬品局(FDA)は、HIVを予防する別の長期作用性注射薬を承認した。グラクソ・スミスクライン(GSK)傘下のヴィーブヘルスケア(ViiV Healthcare)が製造する「カボテグラビル(cabotegravir)」は、2カ月ごとに注射する必要がある。しかし、膨大な需要があるにもかかわらず、展開が遅れてきた。
科学者や活動家たちは、レナカパビルについては違う展開となることを期待している。これまでのところ、FDAはこの薬を、他の治療法に耐性を持つHIVへの既感染者に対してのみ、承認している。しかしギリアドは、複数の薬品メーカーと、120の低所得国でHIV予防のためのジェネリック版を製造するライセンス契約を締結している。
10月にギリアドが発表したレナカパビルのさらなる臨床試験の結果では、3200人強のシスジェンダーのゲイ、バイセクシュアル、その他の男性、並びにトランスジェンダー男女、および出生時に男性と割り当てられた人と性交渉を持つノンバイナリーの人々において、レナカパビルのHIV感染予防効果が96%であったことが明らかになった。
国連は2030年までにエイズを撲滅するという目標を掲げている。控えめに言っても野心的な目標だ。世界ではまだ毎年100万人以上の新たなHIV感染者が出ている。しかし、私たちには今、その目標を達成するための薬がある。必要なのは、それを利用できるようにすることだ。
- 10 Breakthrough Technologies 2025