クリーンなジェット燃料:世界を変える10大技術

Cleaner jet fuel: 10 Breakthrough Technologies 2025 クリーンなジェット燃料:世界を変える10大技術

産業廃棄物や二酸化炭素から作られる代替燃料は、航空機から排出される温室効果ガスの大幅削減に役立つ可能性がある。ランザジェットは2024年初頭に、エタノールからジェット燃料を製造する世界初の商業規模の施設を開設した。 by Casey Crownhart2025.01.15

世界中を飛び回る全世界の飛行機は2024年に、およそ3.8億キロリットルのジェット燃料を消費した。そのうち化石燃料以外のものはわずか0.5%だった。しかし、それがまもなく変わるかもしれない。

これまで温室効果ガスの約4%が航空機から排出されてきたが、代替ジェット燃料はその排出量を大幅に削減する可能性がある。この新しい航空燃料は、使用済み食用油、農作物の残渣(ざんさ)、産業廃棄物、大気から回収した二酸化炭素などから作られる。供給源にもよるが、温室効果ガス排出量を半分に削減するか、ほぼゼロにすることもできる。このような代替燃料は一般的に既存の航空機にも使用できるため、迅速な気候変動対策が可能となる。

現在、これらの代替燃料(SAF:sustainable aviation fuels、持続可能な航空燃料)の使用開始を航空会社に義務付ける目標を設定したり、法案を可決したりする政府が増えている。今年から、欧州連合(EU)域内と英国の空港で使用される航空燃料は、代替燃料の割合を2%以上にすることが義務付けられた。今後数十年で段階的に強化され、EUでは2050年までに70%にまで引き上げられることになる。

現在、商業利用可能な代替燃料のほぼすべては、廃油と油脂類を原料としている。モンタナ・リニューアブルズ(Montana Renewables)は最近、そのような燃料の製造施設の拡張資金として、米国エネルギー省から14億4000万ドルの融資保証を受けた。それでも、これらの原料の供給には限りがある。

他のテクノロジーや原料を使用する企業は、規模拡大を進めている。ランザジェット(LanzaJet)は2024年初頭に、エタノールからジェット燃料を製造する施設を開設した。年間約3.4万キロリットルの生産能力を持ち、商業規模としては世界初の施設となった。二酸化炭素から作られる合成燃料は、航空会社の選択肢をさらに広げる可能性があるが、まだ商業規模では生産されていない。

代替ジェット燃料の推進にとって今後重要な要素のひとつはコストである。現在市場に出回っているSAFの価格は、平均して従来のジェット燃料の3倍近く高い傾向にある。より多くの企業がより多くの燃料を生産すれば価格は下がるはずだが、新しい燃料はさらに高価になる可能性もある。