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世界初のグリーン鉄鋼
量産に挑むスタートアップ
Courtesy of Stegra
気候変動/エネルギー Insider Online限定
The world’s first industrial-scale plant for green steel promises a cleaner future

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世界初のグリーン鉄鋼
量産に挑むスタートアップ

スウェーデンのスタートアップ企業「ステグラ(Stegra)」は2026年、グリーン水素を使うことでCO2排出量ゼロを実現する鉄鋼の生産を開始する予定だ。すでにメルセデス・ベンツなどのメーカーに、今後5~7年で生産する予定の120万トン分の鉄鋼を販売する契約を結んでいる。 by Douglas Main2024.12.30

この記事の3つのポイント
  1. ステグラ社は2026年から工業規模でグリーン鉄鋼の製造を開始する予定だ
  2. 再生可能エネルギー由来のグリーン水素を使用して鉄鉱石から鉄鋼を製造する
  3. 従来品より20~30%高価だが自動車メーカーなどが購入を予定している
summarized by Claude 3

2023年の時点で、その金属は年間20億トン近くが生産されていた。マンハッタンを約4メートル以上の厚さで覆うのに十分な量である。

スチール(鉄鋼)はその製造過程で、大量の二酸化炭素を生み出す。部門全体で世界の二酸化炭素排出量の約8%を占めており、航空部門よりもはるかに大きな、産業界最大の排出源の1つとなっている。最も一般的な製造プロセスでは、鉄鋼1トンあたり約2トンの二酸化炭素が発生する。

現在、少数のグループや企業が、低エミッションあるいはゼロエミッションの鉄鋼に向けて本格的な進歩を遂げている。中でも特に傑出しているのが、スウェーデン企業のステグラ(Stegra)である(元の社名はH2グリーン・スチール(H2 Green Steel)だったが、9月にスウェーデン語で「高める」ことを意味するStegraに変更された)。 2020年創業のこのスタートアップ企業は、70億ドル近い資金を調達し、スウェーデン北部の町ボーデンに工場を建設中だ。この工場は、工業規模でグリーン鉄鋼を製造する世界初の施設となる予定である。ステグラによると、2026年中に生産を開始し、当初は年間250万トン、最終的には450万トンを生産する予定だという。

ステグラは、再生可能エネルギーで作られる、いわゆるグリーン水素を使用して、鉄鉱石を鉄鋼へと加工する。水力発電が盛んなスウェーデンの一地方にあるステグラの工場は、水力と風力を利用して巨大な電解槽を稼働させ、水を分解して水素を製造する。水素ガスはその後、鉄鉱石から酸素を除去し、鉄鋼製造の重要なステップである金属鉄を作るために使用される。

水素を使用して鉄を製造し、続いて鉄鋼を製造するこのプロセスは、ステグラが製造設備を購入した米国企業、ミッドレックス(Midrex)が、すでにパイロット工場で使用している。しかしステグラは今後、はるかに大規模な工場でこのプロセスが機能することを示さなければならない。

「大きな規模ではまだ実証されていない、複数のステップがあります」と、ステグラのマリア・パーション・グルダCTO(最高技術責任者)は言う。そのうちの1つが、世界最大級の電解槽の建設である。

ステグラは、新技術の規模拡大という未知の面だけでなく、ビジネス面でも深刻な課題に直面している。鉄鋼業界は利益率が低く、競争が激しい産業部門であり、各企業は主に価格の優位性で顧客を獲得している。

操業が始まれば、主に安価な電力を利用できるおかげで、従来の製品と近いコストで鉄鋼を製造できるようになると、ステグラは計算している。しかし、工場建設にかかる45億ユーロのコストをカバーするために、20%から30%高い価格設定になる予定だ。グルダCTOによれば、同社はすでに今後5~7年に生産する120万トン分の鉄鋼の契約を締結している。二酸化炭素排出量を削減して自社製品をグリーン製品として売り出そうとしている自動車メーカーをはじめとする、直近に契約した顧客は30%のプレミアムを支払うことで同意した。

ここで疑問が生ずる。ステグラは納品できるのだろうか?

水素の秘密

鉄と炭素、および必要に応じて加えられる他の少数の元素の合金である鉄鋼を製造するには、まず地中から掘り出した鉄鉱石から酸素を取り除く必要がある。そうして残るのが、精製されたこの金属である。

最も一般的な鉄鋼製造プロセスでは、まず溶鉱炉で鉱石と、炭素を多く含む石炭誘導体のコークスが混合され、加熱される。炭素は鉱石中の酸素と反応して二酸化炭素を生成する。その後、残った金属は別の種類の炉に入れられ、高温・高圧状態の炉の中へさらに酸素が強制的に送り込まれる。この酸素が残った不純物と反応し、さまざまな酸化物を生成する。それらの酸化物が取り除かれると、後に鉄鋼が残る。

もう一つの従来的な方法は、世界の鉄鋼製造のうちはるかに少ない割合でしか使われていないプロセスで、直接還元法と呼ばれる。このプロセスでは通常、天然ガスが水素と一酸化炭素に分離されて使用される。どちらのガスも酸素と反応して鉄鉱石から酸素を取り除き、副産物として二酸化炭素と水を生み出す。

残った鉄は電気アーク炉で溶解され、さらに加工されて不純物が取り除かれ、鉄鋼ができ上がる。この方法は全体として溶鉱炉法よりも二酸化炭素排出量が約40%少ないが、それでも鉄鋼1トンあたり1トンを超える二 …

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