AIブームで特需、
米国内のデータセンター
CO2排出量が3倍に
米国のデータセンターの二酸化炭素排出量は2018年以降、3倍に増加している。オープンAIの「Sora(ソラ)」のような、より複雑なAIモデルが普及すれば、この数字はさらに上昇するだろう。 by James O'Donnell2024.12.17
- この記事の3つのポイント
-
- 米国内のデータセンターの二酸化炭素排出量が2018年以降3倍に増加
- データセンターが使用する電力は全米の4.59%を占めている
- AIの発展により二酸化炭素排出量はさらに急増する可能性がある
現在の人工知能(AI)ブームが膨大なエネルギーを消費していることは周知の事実だ。今では、その量がどれほどかの見当がついている。
ハーバード・T・H・チャン公衆衛生大学院の研究チームが、米国で稼動している2132のデータセンター(国内の全施設の78%)を調査した新しい査読前論文が発表された。サーバーでほぼ埋め尽くされているこれらの施設では、AIモデルの訓練が実施されており、「チャットGPT(ChatGPT)」のようなモデルに私たちがリクエストを送信するたびに処理されている。データーセンターでは、サーバーに電力を供給するにも、サーバーを冷却するにも、膨大なエネルギーを必要とする。
2018年以降、米国のデータセンターによる二酸化炭素排出量は3倍に増加している。2024年8月までの12カ月間、データセンターが排出した二酸化炭素の量は1億500万トンに上り、米国での排出量の2.18%を占めていた(比較のために挙げると、米国の民間航空会社の排出量は約1億3100万トンだ)。米国で使用される全エネルギーの約4.59%がデータセンターに使われており、この数字は2018年から倍増している。
特に2022年11月にチャットGPTが発表されて以来ブームとなっているAIが、この急増にどの程度関与しているかを数字で示すのは難しい。データセンターでは一般的に、AIモデルの訓練や処理作業に加え、Webサイトのホスティングから写真のクラウド保存まで、あらゆる種類のデータが処理されているからだ。だが、この研究チームによれば、ほぼすべての産業分野がAI技術を採用しようとしている中、AIが占める割合は確実かつ急速に拡大しているという。
「これは、かなり急な増え方です」。シンクタンクであるエネルギー・イノベーション(Energy Innovation)のシニアフェロー、エリック・ギモンは言う(同氏は今回の研究には関与していない)。 …
- 人気の記事ランキング
-
- AI means the end of internet search as we’ve known it 「ググる」時代の終わり、 世界の知識を解き放つ 生成AI検索がもたらすもの
- Promotion Innovators Under 35 Japan × CROSS U 無料イベント「U35イノベーターと考える研究者のキャリア戦略」のご案内
- 10 Breakthrough Technologies 2025 MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版
- Anthropic’s chief scientist on 5 ways agents will be even better in 2025 アンソロピック主任科学者が語る「AIエージェント」4つの進化
- Driving into the future 「世界を変える10大技術」の舞台裏、2024年の誤算とは?