主張:トランプ再選は気候変動対策の悲劇的な敗北だ
石油とガスの生産量の増加、電気自動車への支援の廃止、発電所の汚染規制の撤廃、米国のパリ協定からの離脱などを公約していたトランプ次期大統領の就任は、米国の温暖化対策の大きな後退を意味する。 by James Temple2024.11.10
- この記事の3つのポイント
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- トランプ次期大統領は気候変動対策を後退させる可能性が高い
- 米国の後退は世界の排出削減の取り組みを弱体化させるだろう
- 困難な状況下でも気候変動対策を進める努力を続ける必要がある
今回の米国大統領選挙におけるドナルド・トランプ候補の決定的な勝利は、気候変動対策にとって衝撃的な後退である。
共和党の次期大統領がホワイトハウスに戻ってくるということは、米国が大切な勢いをみすみす無駄にし、苦労して勝ち取った成果が出始めたばかりの政策の進展を台無しにすることを意味する。これらはすべて、10年足らずの間で2度目の出来事だ。
世界が時間を無駄にできない今、各国は生態系を安定させ、地域社会を安全に保つための排出規制の軌道から大きく逸脱している。現在の政策の下では、地球は今後数十年の間に、産業革命以前の水準から3℃以上も温暖化することがすでに決まっている。
トランプ次期大統領は、ジョー・バイデン大統領肝いりの気候変動関連の法律を無効化することで、地球をさらに危険な領域へと追い込む可能性がある。実際、気候に関するニュースやデータを扱う定評あるサイト、カーボン・ブリーフ(Carbon Brief)の以前の分析によると、第2次トランプ政権では、2030年までに温室効果ガス排出量は40億トン増加する可能性があるという。そうなれば、熱波、洪水、山火事、干ばつ、飢饉の危険性が増し、大気汚染による死亡や病気も増加し、世界中で9億ドルの気候変動による被害が生じるという。
私がMITテクノロジーレビューの気候変動担当編集者としての仕事を始めたのは、トランプ候補が前回大統領に就任した直後のことだった。最初の頃の仕事の大半は、バラク・オバマ前大統領がやっとの思いで達成したささやかな気候政策と進展を、トランプ大統領が体系的に白紙に戻していく様子を報道することだった。今回は前回よりもさらにひどいことになるのではないかと危惧している。権力と不満を抱きながら大統領に就任し、法の支配を試し、反対意見を取り締まる準備ができているからだ。
今回のトランプ政権は、忠誠心とイデオロギーを持つスタッフでさらに固められるだろう。これらのスタッフは、米環境保護庁を含む連邦機関の専門知識と経験を持つ公務員に無理強いさせる計画をすでに立てている。トランプ次期大統領は最高裁判所からも支えられることになるだろう。トランプ次期大統領は最高裁判所を右派寄りに動かしており、最高裁は画期的な環境原則の効果をすでに弱め、連邦規制機関を弱体化させている。
米国がようやく議会の僅差で真に実質的な気候政策を可決 …
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