KADOKAWA Technology Review
×
【3/14東京開催】若手研究者のキャリアを語り合う無料イベント 参加者募集中
作物改良、新時代へ:遺伝子編集で実現する「第二の緑の革命」
Karen Watson
生物工学/医療 無料会員限定
Green Revolution redux

作物改良、新時代へ:遺伝子編集で実現する「第二の緑の革命」

1960年代の「緑の革命」により、世界は人口増加による飢餓の問題を回避できた。最近では、気候問題が農業生産高に及ぼす影響を緩和するため、クリスパーなどの遺伝子編集技術に基づく、新たな緑の革命が黄金期を迎えつつある。 by Bill Gourgey2024.10.28

この記事の3つのポイント
  1. 1960年代の緑の革命により小麦と米の収穫量が倍増した
  2. 現代の植物工学は単位面積あたりの収穫量の向上に注力している
  3. 気候変動や人口増加により遺伝子組換え作物が主流になる可能性がある
summarized by Claude 3

1960年代、 米国の生物学者ノーマン・ボーローグは、穀粒がぎっしり詰まった小型の小麦品種を人為的に選択することにより、「緑の革命」として知られる農業の画期的なイノベーションの時代の火付け役となった(この功績により、ボーローグはノーベル平和賞を受賞した)。アジアでは、フィリピンに拠点を置く国際稲研究所(IRRI:International Rice Research Institute)が、稲作で同様の成功を収めた。その結果、1990年代までに小麦と米の収穫量は世界中で倍増し、度重なる飢饉を回避できた。緑の革命が成功を収めたため、人口増加によってより深刻な飢饉が到来するという悲観的な予測は、もはや起こりそうにないと思われるようになった。

しかし、緑の革命には限界があった。従来の品種改良技術では、植物から引き出せる収穫量に限界があったのだ。交配種の遺伝子プールは、性による適合性の問題で限界があり、また、どの形質が受け継がれるかを制御するのも難しい。さらに、望ましい形質を生み出すために新しい品種を交配するには、何十年もかかる。1982年のMITテクノロジーレビューの特集記事では、異なる種の遺伝子を組み換えることで、このような従来の植物交配の制約を克服する取り組みが紹介されていたが、それでも、時間と費用がかかり、予測も難しかった。

ミズーリ大学の生物科学教授であり、ドナルド ダン …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. AI reasoning models can cheat to win chess games 最新AIモデル、勝つためなら手段選ばず チェス対局で明らかに
  2. Promotion Innovators Under 35 Japan × CROSS U 好評につき第2弾!研究者のキャリアを考える無料イベント【3/14】
  3. OpenAI just released GPT-4.5 and says it is its biggest and best chat model yet 限界説に挑むオープンAI、最後の非推論モデル「GPT-4.5」 
▼Promotion
U35イノベーターと考える 研究者のキャリア戦略 vol.2
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る