ニュージーランドとブラジルで飼われている数百万頭もの牛の中に、従来より肉付きがよく、牛乳の量が少し増え、メタン排出を大幅に減らした牛がいる。
オーストラリアに本社を置くルミン8(Rumin8)が開発したメタン削減サプリメントの効果を測定するために、独立系の研究チームが飼育している数頭の牛だ。世界のメタン排出量の約3分の1は畜牛から排出されており、温室効果ガス排出量全体の11〜20%を占めている。
ルミン8は、牛のゲップによって排出されるメタンの削減に有望と見られる複数の技術のうち、3つの形態で試験している。1つは飼料添加物、1つは牛の飲用水に加えるもの、そしてもう1つは最大6カ月間効果が持続する徐放性カプセルだ。それぞれ異なる環境で飼育されている牛を対象にしている。飼料添加物は肥育場で飼育されている牛に与えることができるが、放牧されている牛には飲料水のサプリメントやカプセルの方がいいかもしれない。3つのうち、飼料添加物の開発が最も進んでいる。
ルミン8のテクノロジーは、牛の第一胃(胃の中で最も大きな部分)の中で起こる、メタンの生成につながるプロセスを阻害することで機能する。牛のエネルギーの10%以上は、消化作用の副産物であるメタンの生成に使われている。メタンは胃の内部で起こる発酵現象の副反応に過ぎないが、そのプロセスを妨げることで牛はエネルギーを節約でき、その分を筋肉や乳の生産に回せ …