気候テック15:セメント製造の電化でCO2を減らすサブライム
電気化学プロセスを用いて製造するサブライム・システムズのセメントは、今年初めて商業的に利用された。さらに、米国エネルギー省から8700万ドルの助成金を受け、2026年完成をめどに、年間3万トン生産する新工場を建設すると発表した。 by Eileen Guo2024.10.13
- この記事の3つのポイント
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- サブライムはセメント製造の脱炭素化を推進するスタートアップ
- 電気化学プロセスを用いたセメント製造でCO2排出量を90%削減
- 2026年に年間最大3万トンを生産する新工場の操業開始を目指す
従来のセメントキルン(窯)では化石燃料を燃やすことで、原料をセメントに変えるために必要な超高温の1500 °C(溶岩よりも高温)まで加熱する。これほどの高熱を発生させると、材料から膨大な量の二酸化炭素が排出される。加えて、セメントを製造する際に必要な化学反応によっても、大気中に大量の二酸化炭素が放出される。そのためセメントは、工業材料の中で最も二酸化炭素排出量の多い材料という不名誉な称号を得ている。
サブライム・システムズ(Sublime Systems)は、エネルギー消費と二酸化炭素排出量の両方を削減する斬新なアプローチでセメントを製造し、こうした状況を変えようとしている。サブライムはキルンの代わりに電気化学プロセスを利用して化学物質と岩石の槽に荷電することで、独自のセメント製品を製造する。再生可能エネルギー源を利用してこのプロセスに電力供給することで、サブライムは排出量を劇的に削減できる。
基本データ
潜在的なインパクト
セメントがどれほど豊富に存在するか理解するのは難しい。ある推計によれば、世界人口の一人当たり4トンのセメントが存在する。年間40億トンほどが生産されている。
世界のセメント業界は2050年までのネットゼロ(実質ゼロ)達成にコミット …
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