KADOKAWA Technology Review
×
気候テック15:セメント製造の電化でCO2を減らすサブライム
Mikhail Glabets / Sublime Systems
気候変動/エネルギー Insider Online限定
2024 Climate Tech Companies to Watch: Sublime Systems and its method of electrifying cement-making

気候テック15:セメント製造の電化でCO2を減らすサブライム

電気化学プロセスを用いて製造するサブライム・システムズのセメントは、今年初めて商業的に利用された。さらに、米国エネルギー省から8700万ドルの助成金を受け、2026年完成をめどに、年間3万トン生産する新工場を建設すると発表した。 by Eileen Guo2024.10.13

この記事の3つのポイント
  1. サブライムはセメント製造の脱炭素化を推進するスタートアップ
  2. 電気化学プロセスを用いたセメント製造でCO2排出量を90%削減
  3. 2026年に年間最大3万トンを生産する新工場の操業開始を目指す
summarized by Claude 3

従来のセメントキルン(窯)では化石燃料を燃やすことで、原料をセメントに変えるために必要な超高温の1500 °C(溶岩よりも高温)まで加熱する。これほどの高熱を発生させると、材料から膨大な量の二酸化炭素が排出される。加えて、セメントを製造する際に必要な化学反応によっても、大気中に大量の二酸化炭素が放出される。そのためセメントは、工業材料の中で最も二酸化炭素排出量の多い材料という不名誉な称号を得ている。

サブライム・システムズ(Sublime Systems)は、エネルギー消費と二酸化炭素排出量の両方を削減する斬新なアプローチでセメントを製造し、こうした状況を変えようとしている。サブライムはキルンの代わりに電気化学プロセスを利用して化学物質と岩石の槽に荷電することで、独自のセメント製品を製造する。再生可能エネルギー源を利用してこのプロセスに電力供給することで、サブライムは排出量を劇的に削減できる。

基本データ

潜在的なインパクト

セメントがどれほど豊富に存在するか理解するのは難しい。ある推計によれば、世界人口の一人当たり4トンのセメントが存在する。年間40億トンほどが生産されている。

世界のセメント業界は2050年までのネットゼロ(実質ゼロ)達成にコミット …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. A tiny new open-source AI model performs as well as powerful big ones 720億パラメーターでも「GPT-4o超え」、Ai2のオープンモデル
  2. The coolest thing about smart glasses is not the AR. It’s the AI. ようやく物になったスマートグラス、真価はARではなくAIにある
  3. Geoffrey Hinton, AI pioneer and figurehead of doomerism, wins Nobel Prize in Physics ジェフリー・ヒントン、 ノーベル物理学賞を受賞
  4. Geoffrey Hinton tells us why he’s now scared of the tech he helped build ジェフリー・ヒントン独白 「深層学習の父」はなぜ、 AIを恐れているのか?
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者は11月発表予定です。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る