人工知能(AI)ブームでデータセンターの電力需要が急増し、猛暑でエアコンの使用量が増える中、世界はかつてないほど多くの電力を必要としている。温室効果ガスの排出量を削減し、地球温暖化を抑制するためには、より多くの電力を再生可能エネルギーで賄う必要がある。
再生可能エネルギーの成長は、主に太陽光発電の成長によるものだ。ファースト・ソーラー(First Solar)は、中国に次いで世界第2位の太陽光パネル市場である米国の大手太陽光パネルメーカーの1社である。同社は、米国外製の太陽光パネルに対する米国の関税と、「インフレ抑制法(Inflation Reduction Act)」によって利用可能になった税額控除の恩恵を受けている。
現在、世界の太陽光パネルの大半は中国企業によって生産されている。そのほとんどが、太陽光を吸収して内部で電子を励起させ、電流として流れるようにするシリコン層を含むセルを製造している。ファースト・ソーラーのセルは、シリコンの代わりにカドミウムとテルルという2つの元素を原料とする薄膜を使用している。このセルはシリコンセルよりも短時間で製造でき、エネルギーと水の使用量も少なくて済む。
しかし、そのセルの性能にはまだ改善の余地がある。現在最も高性能なシリコン太陽光パネルは、太陽エネルギーのおよそ25%を電気に変換するが、テルル化カドミウムはそれに比べて変換効率が低い傾向にある。効率を高めるため、ファースト・ソーラーは現在、ペロブスカイトという新たな材料をセルに組み込むことを検討している。この小さな結晶は、シリコンやテルル化カドミウムが吸収する光とは異なる波長の光を吸収する。「ペロブスカイト・タンデム太陽電池」と呼ばれるペロブスカイトを原料に加えたセルは、より多くの太陽エネルギーを電気に変換できる可能性がある。
ファースト・ソーラーは、ペロブスカイトの結晶を商業用太陽電池に積層して性能を向上させる方法を模索している数少ない企業の1社である。その目標を達成するため、ファースト・ソーラーは昨年、薄膜パネル …