合成肥料の開発は20世紀における偉大な功績の1つだ。合成肥料は窒素の豊富な供給源となり、農作物の収穫高を押し上げ、増加する世界人口に対応するのに役立った。
しかし、合成肥料は気候や環境に悪影響を及ぼすものでもある。生産工程では大量の二酸化炭素が発生し、農地に散布された後は二酸化炭素よりもはるかに強力な温室効果ガスである亜酸化窒素が排出される。合成肥料は全世界の温室効果ガス排出量の約5%を占めており、地下水、湖沼、河川を汚染している。
米国カリフォルニア州バークレーに本社を置くバイオテクノロジー企業、ピボット・バイオ(Pivot Bio)は、微生物を利用して作物の根に直接使用できる形で窒素を供給する方法を開発をしている。これにより、農家が使用する合成肥料の量を削減し、それに伴う汚染を軽減できる。
窒素は光合成に不可欠な成分だが、ほとんどの植物は空気中から直接窒素を吸収できない。肥料メーカーは、窒素分子間の強力な三重結合を分解し、それらの分子を水素と結合させてアンモニアを生成することで、植物が窒素を吸収するのを助けている。合成肥料は農地に散布された後、その多くがアンモニウムと硝酸塩に変化する。植物が取り込んで成長するために利用する窒素を多く含む化合物だ。
土壌中の特定のバクテリアやその他の微生物は、一貫性はないにせよ、同様のことを自然にやってのけている。ピボット・バイオはこの自然なプロセスに現代的な「ひねり」を加えている。植物の生育期間中に根に供給する窒素の量を増やせる微生物を選択して、遺伝子工学的に操作しているのだ。
このピボット・バイオの製品を導入する農家は年々増えている。2022年は約4000平方キ …