KADOKAWA Technology Review
×
気候テック15:熱いレンガで工場を脱炭素化するロンド・エナジー
Rondo Energy
気候変動/エネルギー Insider Online限定
2024 Climate Tech Companies to Watch: Rondo Energy and its hot bricks

気候テック15:熱いレンガで工場を脱炭素化するロンド・エナジー

ロンド・エナジーはレンガと鉄線を使った、安価でシンプルな構造の「熱電池」を大量生産。セメントや鉄鋼、化学など高温を必要とする工業プロセスにおける化石燃料の使用量を減らし、二酸化炭素の削減を目指す。 by Maddie Stone2024.10.09

この記事の3つのポイント
  1. ロンド・エナジーは再エネ電力で加熱したレンガで産業用の熱を供給
  2. レンガを積み重ねた熱電池は既存技術を活用したもので拡張性が高い
  3. 2025年から食品飲料・化学業界で商用熱電池の使用開始を予定する
summarized by Claude 3

工業プロセスに必要な大量の熱をクリーンに作り出す方法を発見することは、気候問題への取り組みにおいて最大かつ未解決の課題のひとつである。二酸化炭素回収やグリーン水素など、広く議論されている解決策は、経済性という点で石炭やガスの燃焼と競争するにはまだ課題が多い。

ロンド・エナジー(Rondo Energy)は、風力と太陽で発電した電気で加熱したレンガを積み重ねるという代替的アプローチを提案している。ロンドの「熱電池」の内部では、安価な再生可能電力を使って、トースターに使われているものと同じような鉄線を加熱しており、この仕組みにより数百トンのレンガを最高1500℃まで加熱する。レンガを1日4〜6時間加熱することにより、間欠性のある再生可能エネルギーによって作られた電力を、産業施設が必要とする365日24時間利用可能な熱源に変換できる。

排出量ゼロの熱電池の商用化を目指すスタートアップ企業群の中で、ロンドはそのシンプルなアプローチで際立っている。競合他社の熱電池には、現在の産業テクノロジーから数歩先を行く新たな手法や人工素材を使っているものが少なくない。しかし、ロンドの熱電池内部 …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. What’s on the table at this year’s UN climate conference トランプ再選ショック、開幕したCOP29の議論の行方は?
  2. This AI-generated Minecraft may represent the future of real-time video generation AIがリアルタイムで作り出す、驚きのマイクラ風生成動画
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る