気候テック15:SAF大規模化で空の脱炭素に挑むランザジェット
米スタートアップのランザジェットはトウモロコシ、サトウキビといった原料を使ってエタノール由来の持続可能な航空燃料(SAF:Sustainable Aviation Fuels)を製造。航空機の燃料燃焼による気候への影響を半分に減らせるかもしれない。 by Casey Crownhart2024.10.06
- この記事の3つのポイント
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- ランザジェットは化石燃料を使わない次世代航空燃料を開発している
- 同社はアルコールをジェット燃料に加工する世界初の商業規模の生産施設をオープンした
- 同社の燃料は燃料燃焼による気候への影響を約半分に減らせる可能性がある
ランザジェット(LanzaJet)はジェット燃料の原料を再考することにより、航空機が気候に与える影響の軽減を目指す。現状では、飛行機に乗ることは大量の化石燃料を燃やすことを意味する。航空業界は世界の温室効果ガス排出の約3%を占めている。
ランザジェットのテクノロジーは、エタノールを使ってジェット燃料をつくるというものだ。エタノール自体は、トウモロコシやサトウキビなどさまざまな原料から調達できる。同社のプロセスでは、エタノールを出発点として、一連の工程を経て水を除去し、分子をつなげて長鎖分子に変え、そこに水素を加える。最終的に、この混合物からジェット燃料として利用できる成分を分離する。
同社はエタノール由来ジェット燃料の開発のトップランナーだ。現時点では、流通しているほぼすべての代替ジェット燃料が廃油やグリースを加工前の原料としている。しかし業界の規模拡大に伴い、原料供給の逼迫への懸念が高まっている。
エタノールという代替燃料の新たな選択肢は、供給を劇的に増加させ、業界の大規模化をさらに加速させる可能性がある。こうした変化は気候目標の達成に不可欠なものになるだろう。ランザジェットは2024年1月、ジョージア州に初の商業規模のエタノール由来ジェット燃料工場を開設した。2034年までに同施設で生産されるすべての燃料にすでに買い手がついている。ランザジェットに出資しているブリティッシュ・エアウェイズ(British Airways)も顧客企業のひとつだ。
基本データ
潜在的なインパクト
代替燃料といえども、飛行 …
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