気候テック15:AIカメラで山火事を早期発見するパノAI
米スタートアップのパノAI(PanoAI)は、視界の開けた場所に設置した超高解像度カメラとコンピュータービジョンで火災発生を検知し、瞬時に消防士に伝えるシステムを米国西部9州に配備。山火事を早期に発見して人的・経済的な被害を抑えるのに貢献している。 by James Temple2024.10.05
- この記事の3つのポイント
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- パノAIは山火事の早期発見に特化したスタートアップ企業である
- 同社は火災の兆候を検知し消防に通報することで被害を最小限に抑える
- 政府機関や電力会社を顧客に抱え、米国を中心に世界で需要が高まっている
今年で設立4年目のパノAI(PanoAI)は、森林、草原をはじめ、火災の危険性が高いエリアの視界のよい場所に回転カメラのネットワークを設置している。各ステーションは、半径約16キロメートル以内の超高解像度の映像を撮影していて、夜間や、煙が充満しているときでも、赤外線測定で温度の変動を検知できる。
パノAIは、独自の深層学習システムを使用して、該当する全域の煙などの火災の兆候を検出している。火災を察知すると、待機している人間のアナリストが画像を検討して火災の発生を確認したり、誤検知を除外したりする。
炎の発生が確認されると、パノAIは火災監視機関に警告を発し、迅速に対応できるように画像と位置データを提供する。
消防士が火を消し止めるまでの間、パノAIは変化し続ける状況を、高度に拡大縮小が可能な画像で常にアップデートしていく。衛星画像、気象情報など、外部のソースから収集した特別なデータも提供する。
基本データ
潜在的なインパクト
壊滅的な山火事が起こるリスクは高まる一方だ。背景には、人間が原生林のすれすれまでコミュニティを築き続けていること、その原生林が生いしげるままに放置されていることが挙げられる。一方で、気候変動によって気温が上がり、乾燥する地域が増え、木や低木、草が、燃えやすい薪のような状態に変わってきている。
火災による経済的・人的被害が深刻化するにつれ、火種が大火事になる前に能率的に防ぎ、消火する手段を開発することの重要性が増している。
通常、消防署などの緊急対応機 …
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