KADOKAWA Technology Review
×
10/9「生成AIと法規制のこの1年」開催!申込み受付中
ほめ上手がネック? チャットGPTで脚本評価、ハリウッドに新風
Sarah Rogers/MITTR | Photos Getty
人工知能(AI) Insider Online限定
An AI script editor could help decide what films get made in Hollywood

ほめ上手がネック? チャットGPTで脚本評価、ハリウッドに新風

米国のテック企業が、映画の脚本を分析・評価し、長所と短所の要約を出力するAIツールを発表した。脚本家志望者や評価者向けに提供するが、生成AIにありがちな「ほめすぎる」点が課題だ。 by James O'Donnell2024.09.27

ハリウッドの至るところで毎日、何人もの映画学校卒業生や制作アシスタントがスクリプト・リーダー(脚本の読み手)として働いている。スクリプトリーダーの仕事は、毎年売り込まれてくる5万本ほどの脚本からダイヤモンドの原石を見つけ出し、さらに追求する価値のある脚本を指摘することだ。1本の脚本は100ページから150ページほどあり、それを読んで「カバレッジ」(長所と短所の要約)を書くのに半日かかることもある。売り買いされる脚本は1年間にたった50本程度であるため、スクリプトリーダーは冷酷になるよう訓練されている。

そうした中、シネリティック(Cinelytic)は、生成AIを使って脚本のフィードバックを提供することを目指している。同社は、ワーナー・ブラザースやソニー・ピクチャーズなどの大手スタジオと協力して映画の予算や潜在的な興行収入を分析している、映画に特化したテック企業だ。

シネリティックは先日、「Callaia(カライア)」と呼ばれる新たなツールをリリースした。アマチュアの脚本家もプロのスクリプト・リーダーも同じようにこのツールを使い、1本あたり79ドルで脚本を分析してもらえる。カライアは人工知能(AI)を利用して、1分未満で脚本のあらすじ、比較可能な映画のリスト、台詞や独創性などの分野の評点、推奨される俳優などを含む独自のカバレッジを書き上げる。また、その映画が投資に値するかどうかということについて推薦し、「pass(及第点)」、「consider(検討に値する)」、「recommend(推奨)」、「strongly recommend(強く推奨)」のいずれかの評価をつける。このツールの基盤は「チャットGPT(ChatGPT)」のAPIで構築されているが、開発チームは脚本固有のタスクについてモデルを指導する必要があった。ジャンルの評価や、ストーリーを1文で要約する映画のログラインの作成などのタスクである。

「脚本を非常に素早く理解するのに役立ちます」と、シネリティックの共同創業者でCEO(最高経営責任者)のトビアス・クイーザーは言う。クイーザーCEOは映画プロデューサーとしてのキャリアも持つ。「より多くのストーリーや脚本に目を向けることができます。優れたコンテンツを見つけるこのビジネスにとって支障となる要素を理由に、脚本が排除されることがなくなります」。

カライアのアイデアは、ある脚本が上映によってどのような業績を達成する可能性があるか、スタジオが分析するためのより多くの方法を、マーケティングや制作に資金を費やす前に提供するというものだ。しかし、シネリティックによれば、映画製作のプロセスにおいてスク …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. Why OpenAI’s new model is such a big deal GPT-4oを圧倒、オープンAI新モデル「o1」に注目すべき理由
  2. Promotion MITTR Emerging Technology Nite #30 MITTR主催「生成AIと法規制のこの1年」開催のご案内
  3. Google says it’s made a quantum computing breakthrough that reduces errors グーグルが量子エラー訂正でブレークスルー、実用化へ前進
  4. Why a ruling against the Internet Archive threatens the future of America’s libraries 主張:インターネットアーカイブ敗訴、図書館の未来を守れ
  5. Why virologists are getting increasingly nervous about bird flu 米国で感染拡大、もはや鳥だけの問題ではない「鳥インフル」問題
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年も候補者の募集を開始しました。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る