ウーバーが昨年買収した無人トラック企業オットーの共同創業者リア・ロン社長がスティーヴン・マヌーチン財務長官の最近の発言に間接的に答えた。マヌーチン財務長官は、人工知能は少なくとも「50年から100年間」、米国の雇用に影響を与えるとは考えていない、と述べたのだ。しかし、現実はそれよりずっと早く進みそうだ。
月曜日、サンフランシスコで開かれたMIT Technology Review主催のカンファレンスでロン社長は、今後10年間で無人運転トラックを路上で目にするようになるだろう、と述べた。しかし、急成長する自律自動車市場の他の多くの企業と同様、人間の介入が全く必要ない本当の意味での自動運転車が実現するには、まだしばらく時間がかかるとロン社長は考えている。
「一朝一夕には実現しないでしょう。コツコツと進むしかありません」
たとえば、歩行者が多くない夜間のわずかな時間帯であれば、完全な自律型自動車を都市部で走らせるのは可能だとロン社長は考えている。その後、日中のさまざまな時間帯や異なる運転状況(自動運転の乗用車やトラックが安全に走行するのはまだ非常に難しく、課題も多い)に臨むつもりだ。
自律トラックがやがてトラック・ドライバーの仕事を奪うと心配されている。だがロン社長は、近い将来のオットーのテクノロジーについて、人間のドライバーの代わりではなく、交代要員としての役割だと考えている。ロン社長は、トラックが高速道路を運転できるようになっても、街中を走る時などには今後も人間が必要だという。
また、トラックの運転は長時間勤務が必要な過酷な労働であり、ドライバーは十分に休息をとれない。もし、人間が後部座席で眠っていてもトラックが走り続けるなら、より安全に、効率的に長距離を走行できるとロン社長はいう。
トラックが自律的に走るためには、乗用車では問題にならない多くの課題がある。トラックは走行中のレーン上で動けるスペースが限られている。たとえば、前方の障害物への対応は乗用車よりも進路変更に時間がかかるし、制動距離が長くなる。また、トラックの積荷は偏って積まれることが多く、荷台の重心はいつも同じにはならない。積み荷が変われば、毎回変わる。積み荷に合わせてどう運転するか、ソフトウェアが検知して調整しなければならない、とロン社長はいう。
オットーとウーバーは最近、アルファベット(グーグル)の自動運転車部門のウェイモ(Waymo)から、知的財産の盗用だとして訴えられている。